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往復書簡 いのちに寄りそって


内藤いづみ・米沢慧/著

装幀:酒井隆志

1999年6月26日刊
(2000年10月第2刷)
小B6判・240ページ
本体価格1,524円+税(税込1,600円)
ISBN4-900918-21-0 C0036

品切れ中



★著者プロフィール

在宅ホスピス医と批評家による
生と死をめぐる40通の<いのち>の往復書簡

推薦●遠藤順子氏(故・遠藤周作氏夫人)
人生の末期に於いて、命の長さよりも深さを求める人が多くなった現在、〈いのち〉の在りように真摯に取り組んだこの往復書簡には、多くの共感が寄せられることだろう。

目 次

まえがき(米沢 慧)

【告 知】真実に基づいた選択の道を
【モルヒネ】痛みを放置するのは人権侵害です
【看取り】安らかな死とは何ですか
【ケ ア(介護)】私の手になれますか
【QOL(生命の質)】いのちの声に耳を傾けて
【安楽に死にたい】松田道雄さんが残したこと
【臓器移植】いのちの主人公は誰ですか
【カルテ】それは誰のものですか
【オカムラ・アキヒコ】ホスピスへの遠い道
【E・キューブラー・ロス】死の受容は可能ですか

あとがき(内藤いづみ)

◆内藤いづみが選んだ〈生と死といのち〉の本
◆米沢慧が選んだ〈死(いのち)〉を考えるための本

●内藤いづみさんのこと(by 米沢慧)
内藤いづみさんは会ってうれしく、会って話がたのしいお医者さんだ。それは患者の<痛み>に繊細な触れ方ができる人だからだと思う。
もし入院患者になったら、と気が小さいわたしはおもう。病につけいった励ましのことばより、通りすがりの「つらいことがあったら、がまんしないでくださいね」というアイ・コンタクトがうれしい。内藤いづみさんはそんな先生だと思う。

●米沢慧さんのこと(by 内藤いづみ)
本人いわく、〈人の創ったものを壊す仕事〉。その柔和な物腰と、生来の照れ性ゆえか伏し目がちな瞳が優しく、壊す人(デストロイヤー)というイメージとはほど遠く、独特の世界をかもし出す人。現代人のおかれている社会状況への鋭い着眼と批評性は、編集者時代に岡村昭彦という〈巨人〉との出会いにあったと推察する。そのオカムラをして〈山陰の消し炭〉と言わしめた米沢さんは、静で息の長いエネルギーの持ち主です。

まえがき/米沢 慧

<いのち>を取り囲む状況は、ここ数年大きく変わりました。
とりわけ脳死による心臓移植の道をひらいた臓器移植法の施行は、生と死の境位をひろげただけでなく<死>という概念を根底からひっくり返しました。
一方では高齢社会、介護社会への道も加速しています。あらためて「死」もいのち、<死(いのち)>の時代に入った──このことに鈍感ではいけないとおもいます。
この本は、一九九六年秋から一九九九年春にかけて「山梨日日新聞」にファクス書簡と題して連載された文章にあらたに二つの書簡を付け加えてなったものです。
書簡はのっけから、がん告知について、モルヒネについて、看取りについてなど精一杯のやりとりになっています。死をタブー視せずに、<還りのいのち>として死をとらえ、死を間近にした最期のステージをどんなに豊かなものにできるか、医療はそこでどんな手助けをしてくれるのか──主題はしっかり<死(いのち)>であり、ターミナル・ライフの生き方を手さぐりすることになりました。

わたしは一〇年余り前に、ある病院で看護婦たちといっしょに「あなたはひとりぼっちではありません。お世話させていただくのは私たちです」という患者へのメッセージだけの「入院あんない」をつくったことがあります。病院を<病の館>から<いのちが共鳴する>共同体にできたら、そんな思いを表現してみたかったからでした。その試みは失敗ではありませんでしたが不満がのこるものでした。
往復書簡を始めるきっかけになったのは山梨日日新聞の座談会ではじめてお会いした直後に届いた内藤いづみさんからのファクス。「わたしにできることは、患者さんのつらい症状の緩和に尽くすことと、いのちの終章の歩みだす姿を待ち見守ってあげることだけです」と。一見、抗議文のようでした。続いて「参考にしてください」とモルヒネに関する資料がえんえんと送信されてくるのです。わたしはいたく感動しました。
こんな先生となら、病気や治療のはなしも病院では描けない<いのちが共鳴する>物語として聞くことができるかもしれない……。
かくして、書簡は緊張のままに始まりました。主題を選び、かたい知識と貧しいことばのジャブをくりだすわたしに対して、内藤医師はことばでではなく、きまって患者と家族と医師の臨床物語としてこたえてくれました。
読者はこの一見、ミスマッチとおもえる書簡のやりとりに三人目として加わりたい衝動にかられるかもしれません。読み進みながら、自分のことのように共感したり異見を表明することができるようになっているとおもいます。癒されることばにもあえるはずです。それができるのも<還りのいのち>に寄り添うお医者さんが、いまここにいるからです。

あとがき/内藤いづみ

私と米沢慧さんの書簡(「ファクス書簡」山梨日日新聞)を熱心に読んでくださる方が身近に多いのですが、実は私にとっては母の批評がもっとも辛らつで厳しいものでした。
「難しい。理屈っぽい……」当初はそういった感想でした。
面と向かって母からそういわれると、
「お母さん、相手はプロの文筆家よ、批評家なのよ。私だって必死に勝負してるんだから」と、幼い頃のようにプッとむくれたものです。
何度目かのとき、やっと母から「今回はまあまあ」と合格点がでました。
「でも──」と彼女は言うのです。
「まだ難しいわね。おとなりの農家のおばあちゃんが読んでわかるかな?」
「お母さん、それなら良寛さんの言葉のようじゃなければ無理よ……」
そう答えて私も「はっ」としました。誰にでもわかる言葉と語りかけでなければ〈いのち〉の話には意味はない。つまり頭でなく心(ハート)にストンと落ちる言葉で私たちは語ってきただろうか──と振り返ってみたい思いがつのります。
そういう意味で、E・キューブラー・ロスは偉大だと改めて思います。〈がんの子どもへの手紙〉では九歳の子にわかる言葉でいのちのメッセージをイラストとともに伝えています。
私は最近、「伝える」ということがこれほど希薄になった時代はないのではないか──と感じます。携帯電話に中毒になったかように〈耽溺〉している若者たちは何も伝えず伝わらず自己で完結し、その足元はぼやけて地についていません。多くの人々がフワフワと宙に浮かんでいるかのようです。
猛烈なエネルギーで世界を駆け回り、いのちの重層さと歴史と人間のおろかさと悲しさと、そして人類がもつべき希望を伝えてくれたオカムラ・アキヒコ。彼の伝えてくれたものは宝物です。多分、軽薄な現代人の私たちには重くて抱え切れないほどの宝物です。この人物の存在を教えて下さった米沢さんに、あらためて感謝いたします。
また、この書簡を通じて、異なる分野に身を置く者が、真剣に「伝える」作業をする。と同時に、チャレンジする醍醐味も味わいました。
連載の機会を与えていただき、何よりも米沢慧氏との出会いの場を提供していただいた、山梨日日新聞の平川圭子さん(当時)、小林広さん(当時)、西室健部長に、この場をお借りして御礼申し上げます。
本書をまとめるに当たり、オフィス・エムの村石保さんには編集者というよりは、〈いのち〉を学び合う教室のクラスメイトとして、いつもながら忍耐強く助けていただきました。「伝える」道はまだまだ遠く、ひょっとしてこれから? という観もあって、ぞくぞくするほど楽しみです。これからもよろしくお付き合い下さい。
最後にこの本が〈いのち〉のありようを考える人々のご参考にしていただけたなら、著者としてこれに尽きる喜びはありません。読者の皆さまとも、またどこかでお会いできる日を心より楽しみにしています。
その日までお元気で。さようなら──。

初出一覧

〈告知〉真実に基づいた選択の道を
初出:〈ファクス書簡〉がん告知について(1996年11月12日~15日 山梨日日新聞)
〈モルヒネ〉痛みを放置するのは人権侵害です
初出:〈ファクス書簡〉「幸せな死」について(1997年2月24日~27日 山梨日日新聞)
〈看取り〉安らかな死とは何ですか
初出:〈ファクス書簡〉「看取り」ということ(1997年6月30日~7月3日 山梨日日新聞)
〈ケア(介護)〉私の手になれますか
初出:〈ファクス書簡〉ケア(介護)について考える(1997年11月14日~17日 山梨日日新聞)
〈QOL(生命の質)〉いのちの声に耳を傾けて
初出:〈ファクス書簡〉「QOL(生命の質)って何ですか」(1998年3月17日~20日 山梨日日新聞)
〈安楽に死にたい〉松田道雄さんが残したこと
初出:〈ファクス書簡〉松田道雄「安楽に死にたい」を読む(1998年8月24日~27日 山梨日日新聞)
〈臓器移植〉いのちの主人公は誰ですか
初出:〈ファクス書簡〉臓器移植法施行から一年(1998年11月23日~26日 山梨日日新聞)
〈カルテ〉それは誰のものですか
初出:〈ファクス書簡〉カルテ開示について(1999年3月23日~26日 山梨日日新聞)

〈オカムラ・アキヒコ〉ホスピスへの遠い道 書き下ろし
〈E・キューブラー・ロス〉死の受容は可能ですか 書き下ろし

★著者プロフィール

内藤いづみ(ないとういづみ)

在宅ホスピス医/ふじ内科クリニック院長
>>ふじ内科クリニックホームページ
山梨県六郷町出身。福島県立医大卒業。東京女子医大内科等に勤務。1986年から英国プリンス・オブ・ウエールズ・ホスピスで研修を受ける。1995年、 ふじ内科クリニックを新設、院長となる。日本ホスピス・在宅ケア研究会山梨支部代表。1998年7月開催の「弟6回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大 会」で大会長をつとめる。

ホスピス・最期の輝きのために

在宅ホスピス医と地域医療者、宗教者が、告知や終末医療を語りつくしたロングセラー。
内藤いづみ・鎌田實・高橋卓志/共著

あした野原に出てみよう
在宅ホスピス医のノートから

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内藤いづみ/著

内藤いづみ対談集
あなたと話がしたくって

生きるために、死を語ろう──在宅ホスピス医と三氏による対談集。
内藤いづみ/著
対談:永六輔・遠藤順子・鎌田實

『いのちに寄りそって』共著・米沢慧/小社
『患者が主役だ!』共著/法研
『笑顔でさよならを』KKベストセラーズ
『あなたを家で看取りたい』ビジネス社
『最高に幸せな生き方死の迎え方』講談社
『あなたが、いてくれる』佼成出版社

米沢 慧(よねざわけい)

1942 年生まれ。島根県出身。早稲田大学教育学部卒業。批評家。主な著書に『都市の貌』『<住む>という思想』(以上、冬樹社)、『事件としての住居』(大和書 房)『思想としての風俗』(共著・大和書房)、『こども』『消費資本主義論』(以上、共著で新曜社)、『ビートたけし』(春秋社)『ファミリー・トライア ングル』(共著・春秋社)『「幸せに死ぬ」ということ』(洋泉社)。活動として、高齢化社会の家族像を模索する「ファミリー・トライアングルの会」や AKIHIKOゼミを主宰。近年は看護・医療、生命を考える自主ゼミにも積極的に取り組んでいる。

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