厳しい自然を豊かに生きる
山岳科学ブックレットNo.6
豊かな自然、里山、地域医療、コミュニティー
山を取り巻く豊かな暮らしを考える
厳しい自然を豊かに生きる
山岳科学ブックレットNo.6
豊かな自然、里山、地域医療、コミュニティー
山を取り巻く豊かな暮らしを考える
980円(933円+税)
信州大学山岳科学総合研究所
総合地球環境学研究所
2010年9月発行
ISBN978-4-904570-24-4
C0045
★本編は、松本市で行われた第6回地球研地域連携セミナー「山・ひと・自然―厳しい自然を豊かに生きる」(2009年11月28日開催)の講演内容を編集したものです。
【地球環境問題】地域と地球をつなぐこと…窪田順平(総合地球環境学研究所准教授)
遠き日の思い出~環境問題における地球と地域
信州の人と自然
医療とコミュニティー
信州発世界へ:環境問題への提言をめざして
ヒマラヤに生きる~生老病死と環境…奥宮清人(総合地球環境学研究所准教授)
はじめに
高所環境とグローバリゼーション~生活習慣病
グローバリ化と老化の変容
結論
信仰から見た山と人間のかかわり…笹本正治(信州大学副学長・人文学部教授)
信仰から見た山と人のかかわり
神は山に住む
水の信仰と山の信仰
山は宗教的な場
山は生活の場でもある
多様な山の文化
安曇野のオオルリシジミ~チョウが舞う里山の再生
……中村寛志(信州大学農学部附属アルプス園フィールド科学教育研究センター教授)
絶滅危惧種オオルリシジミ
オルリシジミの保護活動
オオルリシジミはなぜ増えない
オオルリシジミのルーツをたどって
日本の農牧業と生活様式
野焼きが寄生蜂を減少させる
自然と共存する里山をめざして
地域の暮らしと環境の関わりからみた医療~松本市医師会の取り組み
……須澤博一(松本市医師会長・松本市地域包括医療協議会長)
時代は大きな転換期である~新しい航海のはじまり
長野県の健康・長寿社会の要因
松本市の紹介
松本市医師会の地域医療活動
へき地医療の抱える問題
明日の日本が抱える問題
国の目指す方向
地球温暖化の証
まとめ
【パネルディスカッション】厳しい自然を豊かに生きる~「未来可能な社会」をめざして
岳都・松本の取り組み
消費してきた「山の文化」を再生する
20世紀的「豊かさ」の限界
「こころの豊かさ」とは何か
人は自然のなかでいかされている
山岳地域は、陸上に残された数少ない貴重な自然資源であると同時に、地球規模での環境変動の影響を受けやすい脆弱な自然でもあります。標高が高いた めに森林の無い高山域から人々の生活が営まれる里地・里山にいたるまでの、山岳地域と呼ばれるこの環境系は、地球規模での環境変動の影響はもとより、人間 の生活系との相互作用によっても変化しやすい地域です。2006年7月に再出発した際に掲げられた信州大学山岳科学総合研究所の基本理念は、「今後100年間の近未来を見据えた、山岳地域の自然環境と人間活動との持続的な融合の方策を探る」ということです。
この理念を実現するために、先ず、山岳地域での環境問題の根幹をなす、「物質循環機構およびその動態」、「地表変動および災害発生機構」、「生物多様性および多種共存機構」について地球生物圏科学の視点からきめ細かく解析します。次いで、ここで明らかになったことを基礎として、「山岳地域に暮らす人々にどのように影響するのか」、「人々はどのように山岳地帯と関わっていくことが望ましいのか」を、森林、里山、都市をひとつの環境系として位置づけながら研究していきます。
そして、最終的には、人間を含む生命系の永続的な維持をめざして、大気・大地・生命の有機複合的な自然環境の躍動性を明らかにし、自然環境再生・保全・活用および防災を実践する事のできる「山岳地域の自然環境と人間活動との持続的な融合の方策」の提言を行います。
これらの研究作業の営みの中で、明らかになったこと、問い掛けてみたいこと、提案したいこと、議論したいことが数多く出てきます。それらの思いを皆様に分かり易くお届けする機会として、山岳科学ブックレットを刊行することとしました。山岳科学はとても広い領域を対象としています。ブックレットも多種多様な題目で次々と刊行されることになるでしょう。是非、肩肘張らずにお読み頂き、皆様と一緒に「山・ひと・くらし」について考えることができれば幸いです。
信州大学山岳科学総合研究所長 鈴木啓助
山岳県、長野にある信州大学山岳科学総合研究所。
日本の屋根、アルプスに近い立地を生かし、山を暮らし、気象、植生、文化など様々な分野から多角的に研究しています。
その研究の成果をまとめたブックレット。研究者から山岳関係者、そして山に関心のある方まで是非読んで戴きたいブックレットシリーズです。
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