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子どもの脳に生きる力を


学級崩壊とキレる子ども治し方
寺沢宏次/著

2001年5月21日発刊
四六判・240ページ
本体価格1,429円+税(税込1,500円)
ISBN4-900918-38-5 C0037

装幀・浅川一夫

品切れ中



★著者プロフィール

不安を抱える親たちへ!
行き場をなくした教師たちへ!

1970年代を境に、日本の子どもたちの「脳」の発達に変化が現れはじめた。
時を同じくして表面化する登校拒否・いじめ・キレ…そして学級崩壊。
かつてない残虐事件までが、子どもたちの周囲に起こりはじめる。
いま、子どもたちにいったい何が起きているのか。子どもたちの「脳」を変えてしまったものは何か。
30年の歳月をかけた研究者たちのプロジェクトが、子どもへ、熟年へ、そしてある学級崩壊の改善へとチャレンジした。[学級崩壊に立ち向かった実践レポートを掲載]

目 次

はじめに

人を知るには脳を見よ
[GO/NO-GO課題による実験]

脳のアクセルとブレーキ
脳はこうして大人になる
前頭葉にココロあり
「行くな」という電気信号

日本の子どもの脳が変わった
[大脳活動の型の特徴的変化]

脳の発達が遅れてきた
中国で出会った子どもたちの瞳には
大人に近づけない子どもたち
中国でもそうなのか

なぜ子どもの脳は変わったのか
[子どもの生活環境の変化]

ポイントは1979年
外で遊ばなくなった子どもたち
テレビっ子、室内っ子
群れて遊ばなくなった子どもたち
テレビゲームの登場で…
まだ中国には「子どもの群れ」があった

「ふれあい」がなくなっていた
[日本の子どもを変えたもの]

いじめ・登校拒否・キレる子ども
人は人に癒される
イメージ療法の原点はコミュニケーション
家族のふれあい時間がなくなった
コミュニケーションが欠落すると
愛情が生命科学の壁を超える

キレる子どもは前頭葉も運動不足
[運動で脳も育つ]

運動も人と人のふれあい
運動は脳を育てる
体を使った遊びの重要性
スポーツは人生の縮図…かも
前頭葉の運動不足

子どもだって熟年だって輝きたい
[熟年体育大学の試み]

熟年の目が輝くとき
ふれあいを失った熟年たち
いきいきとした自分とは
血圧や体脂肪も運動で減少
元気になると楽しくなる
脳に心地よい刺激で若返り
アメリカで熟年体育大学を考える
最先端の高齢者スポーツに出会う
世界の権威に励まされる

冒険すると脳が育つ!?
[キャンプと前頭葉機能]

キャンプの効果を調べよう
おや、前頭葉が活性化!
苦しいけれど何かが変わる
一カ月のキャンプを通してたくましく成長
失った時間をとりもどそう

学級崩壊に取り組む
[学級崩壊改善までのレポート1]

学級崩壊との出会い
人とのふれあい方がわからない
選手再生のプログラムが役だった
「キャンノット」を「キャン」へ
ネバーギブアップ!そして「今を生きる」こと
ミスをしないことでなく、ミスから学ぶこと

こうして学級崩壊が治った
[学級崩壊改善までのレポート2]

崩壊までの過程を逆にたどってみる
あるべき姿を理解してもらう
家庭は親子のキャンプ場
やってはいけないことの芽を摘んでいく
成果が出はじめてきた
問題は見えないところに
連携プレーで事件を解決

自分で学ぶ力、自分で生きる力
[子どもたちの今後の課題]

ふれあいと家族を取りもどそう
便利になって感情もどこかへ行った
受け身の生活に慣れすぎて
豊かさの果てにあるものは
どんな状況でも生きていける力を

あとがき

はじめに

日本が高度経済成長にはいった一九六〇年頃から、日本の子どもがどうもおかしい、何か変だと言われはじめました。一九七〇年代になると産業の発展にともない、各地で「公害」が問題になってきました。保育園の先生や学校の保健室の先生から「最近の子どものからだがどうもおかしい」という声が出はじめ、「転んでも手が出ず、地面に顔をぶつけて前歯が折れた子がいる」「背筋が妙に曲がっている」「棒に登っていて、突然手を離して落ちた子がいる」といったことが言われはじめます。そしてこうした話は全国各地で聞かれるようになります。その後、テレビの普及も重なり、視力不良の子どもが増えはじめ、中学生の「不登校」の子どもが増加に転じはじめます。
一九七八年、日本体育大学の正木健雄氏が中心となり、この日本の子どものからだのおかしさについて、全国的な実感調査が行われました。この調査結果を基にしてNHKは、特別番組「警告 子どものからだは蝕まれている」を制作・放映し大反響を呼びます。
翌年の七九年には、日本の中学生の校内暴力が多発し、学校教育に大きな波紋が投げかけられました。さらに日本の子どもたちの問題は「校内暴力」にとどまらず、その後たいへんな勢いで「登校拒否」「いじめ」「学級崩壊」など、今も解決不能なさまざまな難題が出はじめました。
海外の先進諸国でも、犯罪が低年齢化してきていると言われています。現在、日本の少年犯罪率は統計学上は減少してきているものの、悪質で、また考えられないような少年の犯罪が後をたちません。一九九七年に神戸で起こった小学生連続殺人事件で、「酒鬼薔薇聖斗」と名乗ったのは十四歳の中学生でした。九八年には栃木県黒磯市で、教室前の廊下で注意した女性教師を中学生がバタフライナイフで刺し殺してしまう事件、そして二〇〇〇年には愛知県豊川の十七歳の高校生が「殺す経験をしようと思った」と言い、女性を殺害。その後、高校生の残酷無比な事件が多発していきます。
これらの事件が話題になるなか、さまざまな専門家の意見が交錯するものの、未だにこれらの問題の解決方法は見つかっていないのが現状です。日本の子どもたちが、現代化にともなって変化し、その歪みとして学校でさまざまな問題が出はじめ、さらにその延長線上に、考えられない凶悪な犯罪が起こっているとも考えられます。
なぜ日本の子どもは、このように変わってしまったのでしょうか。正木氏らは、子どものからだの調査の一環として一九六九年から子どもの脳を、ある方法によって実験し、調べてきました。そして十年後の一九七九年に、日本体育大学教授の西條修光氏らが再び日本の子どもたちにこの実験をおこなったところ、大きな変化が見られました。さらに、私を含む、柳沢秋孝氏(松本短期大学教授)、篠原菊紀氏(東京理科諏訪短期大学講師)らが九八年に同じ実験をおこなったところ、今度は七九年のデータと類似するという結果になりました。このような実験結果から、日本の子どもの脳は一九六九年から七九年の十年間で大きな変化を遂げ、その後は変わっていないことが統計学的にもわかってきました。
いったいなぜ、日本の子どもの脳は一九六九年から七九年の十年間で大きな変化を遂げたのでしょうか。その原因について私たちが今まで追求してきた研究成果を報告しながら、この問題について皆さんといっしょに考えていければと思っています。このことが契機になり、現在日本の子どもたちに起こっているさまざまな問題に対する解決の糸口になれば、このうえないことだと思っています。
本書はどこから読んでもよいように一応の配慮をいたしました。むずかしい所はあと回しにして、ぜひ読みたい所からお読み下さい。

あとがき

一九九八年と一九九九年GO/NO‐GO課題による日本と中国の子どもの大脳活動の調査をおこない、日本の子どもは、一九六九年から一九七九年の十年間で大きな変化を遂げ、その後はあまり変化が起きていないことが予想されました。これらの調査は、さまざまなところで取り上げられ、講演依頼も舞い込むようになり、忙しい日々を送るようになってきました。
一九九八年の日本の調査と一九九九年の中国の調査を終えて帰国し、大阪、名古屋、北海道へ出張を終えた時に、私は病気でからだが動かなくなりました。人間とはおかしなもので、失ってみてはじめて健康であることの大切さを身にしみて理解します。この時私は、一人の能力には限りがあることを知り、健康と家族の大切さを再認識しました。この経験に感謝しながら、講演依頼をお断りし、増えてきた仕事を工夫して減らすように努力してきました。その代わりとして、早く本を書いて皆さんの声にお応えしたいと思っていました。その思いが今回、二年の歳月をかけようやく実現したことを私自身非常に嬉しく思っています。
この本を書くにあたり、実に多くの方々にお世話になり、支えていただいたことを心から感謝いたします。まず、GO/NO‐GO課題による大脳活動の研究を指導して下さいました、日本体育大学教授の正木健雄先生、西條修光先生。人生の哲学を教えて下さいました日本体育大学名誉教授の長田一臣先生。そして、私たちの研究についてアドバイスをいただきました、国立岡崎生理学研究所所長の佐々木和夫先生と同助教授の逵本徹先生、信州大学教授の能勢博先生、日立基礎研究所長の小泉英明先生、日本福祉大学教授の久保田競先生。北海道大学教授の澤口俊之先生、そして、私たちの研究プロジェクトで活躍していただいている松本短期大学教授の柳沢秋孝先生、東京理科大学諏訪短期大学講師の篠原菊紀先生、信州大学助教授の平野吉直先生、信州大学非常勤講師の根本賢一先生、山梨学院女子短期大学講師の田中好文先生に心からお礼申し上げます。
さらにこの本を書くにあたって、オフィスエムの寺島純子氏にはさまざまなアドバイスをいただき、ともに汗を流しながらこの本の完成を導いて下さいました。この場をおかりして深謝いたします。
考えて見ますと、このGO/NO‐GO課題による大脳活動による研究についても、さまざまな方々に思いやりをいただき支えていただきました。このような環境が実は、日本の子どもに欠落しているのではないかと思っています。この研究を通して思うことは、人と人とのふれあいがなくなり、人を思いやる気持ちが欠落していることが大きな問題を起こしているのではないかということです。
このようなことから、これからの教育は、この人を思いやる気持ちをいかにわかりやすく実践し態度で示していくかがポイントになってくるように思います。言うは易し、やるは難しで現代化が進む日本では困難が伴うかもしれませんが、焦らずしかし一歩一歩、今を生きながら実践していくことが一番よい方法だと私は思います。
日本の子どもたちが昔のように、目を輝かせ、明るい日本の未来が見えてくることを祈って、この本のあとがきに代えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

二〇〇一年 五月吉日 寺沢宏次

★著者プロフィール

寺沢宏次(てらさわこうじ)

信州大学教育学部助教授。
1960年広島県生まれ。1983年日本体育大学卒業。同年、同大学大学院入学。在学中の84年北京体育学院に1年間研究留学。86年同大学院修了。87 年信州大学教養部講師、同大学医学部生理学講座研究生となる。92年同大学教養部助教授、94年同大学医学部にて医学博士号取得。2000年より現職。現 在に至る。専門は、精神生理学、環境生理学、運動生理学。「子どもの大脳活動の型」を研究テーマに、いまの子どもの「キレ」「荒れ」の状態を分析。原因と して「人と人のふれあいの欠如」が考えられ、このことは、いまの高齢者にもあてはまると予想している。
著書『どんとこい!熟年〈人生80年時代をいきいき生きる健康テキスト〉』(小社刊)、『メンタルリリース』(ほおずき書籍)ほか
>>http://su.valley.ne.jp/~terasawa/


どんとこい熟年
人生80年時代をいきいき生きる健康テキスト
寺沢宏次/著
能勢博/監修

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