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民話の森・童話の王国


信州ゆかりの作家と作品
和田 登/著

装幀:酒井隆志

2002年3月3日発刊
A5判・560ページ
本体価格4,800円+税(税込5,184円)
ISBN4-900918-47-4 C0095

「夢」を忘れた大人たちへ。「物語」を知らない子どもたちへ。



★著者プロフィール

親と子のための民話と童話の読書案内

ふるさとに伝わる昔ばなしと
島崎藤村からC.W.ニコルまで36人の作家を網羅した
信州・児童文学への手引き

附●作品索引・人名索引

民話・童話・雑誌等800点余/掲載人物300名余

[著者から読者へ]

文化というものは引き継がれてこそ、価値が生じるものであると信じている。まず大人である皆さんに、少なくとも信州ゆかりの民話や作家たちのことぐらいは知っていただきたいし、それを糸口としてそれらの本に感心をもって欲しいと、願わずにはいられない。

※本書は『信濃毎日新聞』紙上で1990年4月15日から1994年6月22日まで215回の連載に、加筆、訂正したものです。

【目次】

第1部[民話編]
伝承・昔話の誕生から現代まで

■ 私は信州という限られた土地の、それらの木々の繁る林や森を訪ね歩いた。歩いているうちに、幼い頃に聞いたあの昔話、この伝説というように、日本全体のなかでも非常にポピュラーな物語が多数、このわれらが信州に生まれていることを改めて感じ、目を見張った。”(「民話編のためのエピローグ」より)

山と水の伝承
背くらべ/山んば/唐猫/龍
民話の主人公たち
ものぐさ太郎/甲賀三郎/望月の駒/つつじの乙女
妖怪伝説
雪女/鬼/天狗/河童
神の使者としての動物たち
猿/山犬/鳥/狐
乱世の物語
川中島合戦/落城悲話/武士/加助騒動
民話のなかの家族
じっさとばっさ/嫁・姑/母/子ども
笑い・ユーモア
まぬけ聟/ことば/風刺/ほら話
善光寺をめぐる物語
牛に引かれて/玉鶴姫/ぶらん堂薬師/大地震
文明開化に生まれた民話
玄蕃之丞狐/チョンまげ/電信/出征
現代社会と民話
不思議な話/怪談/愉快な話/戦争

民話編のためのエピローグ

第2部[童話編]
創作童話に関わった36名の人と作品案内
■現代は活字文化の曲がり角を大きく曲がってしまった時代である。本書の第二部童話編で取り上げさせていただいた作家や画家36名の仕事の軌跡をたどってきて、改めて思うことは、今とくらべて、先輩たちがどれほど深く活字と活字の森に分け入り、自分の思想や感性を磨いてきたかという点である。”(「本書のためのあとがき」より)

島崎藤村:童話への想い捨てがたく
あくなき童話への想い/「眼鏡」誕生の背景/旅が与えたもの/「幼きものに」にみる童話観/知の財産の伝承として

中 勘助:幼年時代への固執と鋭い文明批評
野尻で生まれた物語/幼年時代の暗い影/母性への憧れ/鳥に込められた想い

土田耕平:故郷・諏訪への郷愁と童話への執着
「夕焼」への漂泊の旅/人々との交流から生まれたもの/永遠なる童心/故郷への思慕/「雲の上」にみる信仰心

吉江喬松:独自の自然観と戦争否定の精神
自然に育まれた少年時代/海洋が示す自由/童話執筆へ至る背景/戦争否定としての自然観

酒井朝彦:信州への想い入れと文学への純粋
慕われる人柄/小川未明の影響/「門」の始まり/小説から童話へ/死と向かい合う作品/いのちへの視点/朝彦にとっての「門」

塚原健二郎:庶民の発想と戦争否定に徹した理想主義
信州の児童文学と健二郎/西欧文明への憧れから/藤村との出会い/「新しき村」から「赤い鳥」へ/芸術に託した理想/集団主義童話の傾向/戦争否定の精神

中村亮平:人類の超越者への祈り
信州白樺派のなかで/純真さとロマン/離村して朝鮮へ/超越者への祈り

木内高音:宮沢賢治の評価と弱者への視線
無名時代の賢治を評価/鈴木三重吉との出会い/「赤い鳥」時代の作品/中央公論社時代/原体験を綴った晩年の作品

林芙美子:新しい時代の到来を夢みて
山ノ内町温泉郷との縁/厳しい現実の描写/疎開生活から生まれた物語/平和への想い

武井武雄:童画に幻想的宇宙を確立した平和主義者
独自の幻想的小宇宙/絵心をはぐくんだ幼年時代/「コドモノクニ」の創刊/平和主義者のモチーフ/超現実的な空想世界

横井弘三:童心が横溢した天衣無縫の画家
超俗的画家との出会い/幼児期に培われた絵心/華々しいデビューから二科会脱会へ/賢治童話との関わり

藤森成吉:権力否定としてのヒューマニズム
児童文学界での位置/弱者への視点/権力への批判/「ピオの話」にみるヒューマニズム

中島孤島:孤高を守り続け世界を見据えた仕事
海外児童文学の紹介/田園生活での絶望/抱月との対立から童話へ/ギリシャ神話への造詣/孤島童話の傾向

小百合葉子:「劇団たんぽぽ」に結実した精神
劇団たんぽぽの誕生/〈たんぽぽ〉の由来/児童演劇への道/受け継がれる精神・281

坪田譲治:野尻湖を愛した夢物語
野尻少女〈おとめ〉/人生と死への煩悶/現実のなかの夢物語/野尻湖との縁/花静かなる田園

佐藤春夫:詩人が創りあげた幻想物語
田舎暮らしと童話の執筆/「田園の憂鬱」/詩人らしい童話/「自然の童話」

平林広人:庶民の心を貫いたアンデルセンのこころ
アンデルセン関係の業績/デンマークとの出合い/デンマークで学んだ教育理念/独特なアンデルセン解釈

宮口しづえ:藤村の世界から語り続けた子どもの世界
絶頂期での迷い/藤村との関係/宮口童話の出発点/土田耕平の影響/体験が生んだ独自の作品/〈天空〉と〈老い〉を見つめる眼

宮下正美:少年時代への固執と次世代に託したもの
多岐にわたる出版活動/文体へのこだわり/「二少年の冒険」/都会っ子へのメッセージ

菊田一夫:「鐘の鳴る丘」に結実した戦災孤児への想い
〈少年の家〉のモデル/穂高疎開談/〈少年の家〉誕生の背景/放送劇〈鐘の鳴る丘〉/初放送の大反響/戦災孤児への想い

土方浩平:おんどり座にかけた波乱の人生
文化に生きた明治人/活動人形に魅せられた子ども時代/人形劇へのこだわり/諏訪湖畔での活動

加藤明治:家族愛と村落共同体への連帯から生まれた物語
急逝の衝撃/教育活動としての童話執筆/〈平十もの〉の描く世界/〈平十〉に託された理想像/共同体中心の作品世界

熊谷元一:独自の絵物語に描いた子どもたちへのメッセージ
田舎生活へのこだわり/童画への目覚め/新しい画調への共感/現代の子どもへのメッセージ

いわさきちひろ:平和への祈りを込めて描いた〈ちひろの世界〉
信州との深い関わり/絵に見入る少女時代/自ら選ぶ人生へ/〈ちひろの世界〉の確立

新田次郎:少年たちへ託した独自の児童文学
〈武士の末裔〉の経歴/優れた少年科学小説/「季節風」/数々の少年小説

宮崎 惇:飛躍した発想から生まれた幻想小説とSF
飛躍した発想の幻想的作品/ロケット研究からSF作家へ/「ミスターサルトビ」/異次元もので発揮された力量

平沢清人:響きあう農民の楽天性とロマンチシズム
文化的に恵まれた少年時代/社会主義思想に基づく姿勢/独自の歴史観/一揆にみた歴史のうねり

松谷みよ子:信州で開花した芸術的感性と庶民性
信州に縁ある作品を/坪田譲治との出会い/民話志向の始まり/難しいテーマでの成功/加害責任を問う物語/〈あの世〉のテーマへの挑戦

庄野英二:キリスト教的精神と信州との絆
信州との絆/戦争体験の影響/「星の牧場」の誕生/自然と人間との関わり

いぬいとみこ:論理的で社会派的なファンタジー
華々しい登場/童話作家への道/土地に根ざした社会派的作品/賢治に学んだファンタジー/「山んば見習いのむすめ」に込められたもの

山室 静:明日の社会を考え続けたヒューマニスト
広範な文学活動/植物的人間/マルキシズムからの別離/童話への想い/小諸高原学舎/「人魚姫」の解釈/東洋思想と未明擁護

柴田道子:弱者の側に立ち続けた壮烈な活動
壮絶な人生で生まれた作品/「谷間の底から」/部落解放運動の展開/弱者の側からの視点

大川悦生:世界平和を希求した戦争民話
創作民話の開拓/フィールドワークに基づく表現法/〈戦争民話〉へ向かわせたもの/〈土〉から生まれた民話の種

小宮山量平:強靱なヒューマニズムに貫かれた出版活動
昭和史の語り部/児童書出版への流れ/言葉の自由への想い/回帰への願い

C・W・ニコル:強い意志と自然に育まれた独自性
賢治・黒姫との出会い/小さな反逆者/自然への想い/不思議な体験

椋 鳩十:ハイジの心をもったヒューマニストの自然への畏敬
ハイジの心/家族・教師からの影響/根底に流れる詩精神/動物との一定の距離/故郷伊那谷の世界/動物に託した戦争批判/次世代へのメッセージ

童話編のためのエピローグ

本書のためのあとがき

作品索引/人名索引
★著者プロフィール

和田 登(わだのぼる)

児童文学作家
1936年、長野県生まれ。信州大学教育学部卒業。『虫』で第1回日本児童文学者協会短編賞、『悲しみの砦』で第1回塚原健二文学賞を受賞。主な作品に 『キムの十字架』(明石書店)、『星空のバイオリン』(PHP研究所)、『想い出のアン』(岩崎書店)など多数。現在、長野市に在住。

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