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出張サラリーマンの 信州イチ押し温泉紀行


一柳雅彦/著

装幀/カバー・扉イラスト:貝原浩

2003年1月28日発刊
四六判・208ページ
本体価格1,600円+税(税込1,728円)
ISBN4-900918-57-1 C0026

★著者プロフィール

浸かりまくって食べまくって、とことん湯めぐり2年半!

毎週3泊4日のハードな日程、きつ~いノルマ、微々たる経費。そんな三重苦にもメゲず、夢の出張生活を手に入れた哀愁のサラリーマン。いま初めて明かされる、怒濤の温泉めぐりとは?/知られたくない教えたくない、とっておきの隠れ宿から秘湯、珍湯まで一挙公開!/営業がてらの温泉か!?はたまた温泉ついでに営業か!?/出張サラリーマン、またの名を〈孤高のラーメニスト〉!/食べ歩くこと26年、通算6000杯以上をすすり続けたオトコが、湯めぐりついでに食い倒した、信州ラーメン・蕎麦・うまいものの数々!/伝説のラーメニストがイチ押しの温泉と旨い店を大公開!

一泊二食6,000円の温泉宿が、ジゴクの出張生活を救った。

どのみち自宅に帰れない出張なら、一人気ままに楽しみながら仕事をしようではないか!御同輩。/周到な計画を立てれば官費旅行?である。往復の交通費はおろか、宿泊代だって会社持ち。こんな恵まれた仕事はな~い!/考え方ひとつで、ユーウツな出張が3泊4日のおいしい温泉旅行に化けるのだ!/ロマン漂う色つきの湯、絶景に思わず息のむ露天風呂から部外者お断りの秘湯まで、昼休みを抜き、寝る間も惜しんで入り浸り!/宿代を少しでも抑えて、一本でもよけいにビールが飲みたいと叫び続ける純情中年サラリーマンが、信濃国でみつけた温泉宿の数々で飲み干したビールは、いかばかり。男はダマッテもう一本。
(text by 貝原浩)

巻末に【市町村別/五十音別インデックス】
マニア必見【出張サラリーマンの全入湯記録406湯】も!

もくじ

プロローグ/出張サラリーマンがビジネス温泉宿に遭遇した日

湯よし、メシよし、女将よし
【ぬくもりの湯宿】

山あいに隠れた名湯は国民保養温泉地:湯元松屋旅館/霊泉寺温泉
湯治場のおもかげ残す憩いの「ぬる湯」:ますや旅館/田沢温泉
標高2000メートル!! 眺望抜群のさっぱり湯:高峰温泉
源泉あふれる松本市内の意外な穴場:舶来荘/新浅間温泉
シャチョーも唸った、お得感いっぱいの宿:和泉屋旅館/美ヶ原温泉
木曽川を見下ろす源泉の一軒宿:棧温泉旅館/棧温泉

湯けむりに誘われ、人情にふれる
【ぶらり日帰り温泉】

裸のつきあいがいい、上諏訪共同湯めぐり:精進湯/上諏訪温泉
買い物帰りに浸かりたい和み系・デパート温泉:丸光展望温泉/上諏訪温泉
入湯チャンスは週にたったの3時間!:塩壺の湯
これぞ共同浴場の秘湯! 幻の湯に浸かる:飯山市老人福祉センター湯の入荘/瑞穂温泉
チャンスの神様は風呂桶を抱えてやってくる!?:瑠璃の湯&味な湯宿やすらぎ/上条温泉
田んぼのなかのバラック小屋を見逃すな:百合居温泉
地図にない湯を求めて…一人温泉探検隊in飯山:不動の湯・金平の湯・大川希望の湯

ひなびた風情がたまらない!
【山里の湯】

渓谷にひっそりと湧く「真田一族」の隠し湯:岩屋館/角間温泉
サルとも混浴!? 野趣あふれる露天:後楽館/地獄谷温泉
宿も湯も文化財! 江戸から続くバリバリの湯治宿:大湯元山田旅館/小谷温泉
カラダもココロもとろけそうな新鮮さ:乗鞍荘/若栗温泉
熱さにマケズ、かけ流しの源泉連湯:熱泉荘&雨飾荘/小谷温泉

生きてるうちに一度は入りたい
【魅惑の色つき温泉】

沢風に吹かれて浸かる茶褐色の冷泉:大喜泉/釜沼温泉
標高1800メートルに湧く硫黄系白濁泉:六合目中の湯/中の湯温泉
木々の彩りも美しい渓流沿いの濃厚白濁泉:公共野天風呂/白骨温泉
牛乳のような湯と雪景色の極楽世界:ゑびすや/白骨温泉
老若男女に愛される乳白色のデカ露天:泡の湯/白骨温泉
黄土×緑色のにごり湯、冷泉のおまけつき:あさま苑/奈良原温泉
原生林を分け入って茶褐色の湯とご対面:浅間山荘/天狗温泉
スキー帰りのひと浴びがおすすめ:旧ホテルユングフラウ/旧鬼島温泉
体がよろこぶ赤褐色の超高濃度温泉:楽養館/小赤沢温泉
かけ流しの乳白色&初体験のうっとり鮮やかグリーン:ホテル渓谷/志賀山温泉/熊の湯ホテル/熊の湯温泉

抜群の開放感にひたりたい
【絶景! 露天風呂】

打たせ湯あり、月見あり、これぞ露天天国!:中房温泉
惚れぼれする見晴らしの国民宿舎:有明荘/有明温泉
度肝を抜く木曽一番の開放感:木曽路館/南木曽温泉
東に南、西に中央、アルプスをのぞむ大パノラマ:赤石荘/小渋温泉
思わず叫びたくなる爽快さ:湯里湖/いいだ温泉
北信濃の山々と馬曲川が織りなす光景に酔う:望郷の湯/馬曲温泉
人工物一切なし! そそり立つ山容のド迫力:仁成館/和山温泉
番外編:たまには男二人旅:別所温泉に浸かって飲んだ2泊3日

秘かにいきたい
【穴場温泉】

初めてなのに懐かしい、人里離れた無名の鉱泉:鉱泉旅館峠の湯/峠の湯
きめ細かな泡立ちの個性派サイダー湯:高林閣/塩沢温泉
避暑地軽井沢のロマンにひたる:小瀬温泉ホテル/小瀬温泉+千ヶ滝・塩壺・星野・ゆうすげ温泉
茅葺き屋根と縁側もそそる目に効く湯:大谷地鉱泉
天下の名勝地は湯まで清らか:上高地温泉ホテル/上高地温泉
湯あがりまで清々しい超穴場のまろやか湯:とりふじ山荘/蛇王鉱泉
宿ごと一人貸切体験、伊那谷の「秘密の宿」:山室鉱泉旅館/山室鉱泉
質は抜群、湯量も豊潤な通好みの湯宿:一陽館/加賀井温泉
活力あふれる松代の湯三番勝負:海津荘&寿楽苑&松代荘/松代温泉
さらば信州、湯旅の終わり:最後の旅館夕霧&ますや旅館

エピローグ/信州の湯よ、永遠に……

附・出張サラリーマンの全入湯記録/市町村別・五十音別索引

孤高のラーメニストの食い倒れ紀行
【ラーメンの巻】

6000杯以上をすすり続けたラーメニストが絶賛する信州ラーメンとは?
削り節が隠し味のキレある一杯:若松食堂/松本市
チャーシューがおすすめの本格派:竹乃家/松本市
蕎麦とのセットが絶妙!:みやまそば/松本市
ダシが際立つ「和風中華」:成田屋/松本市
完全手打ちの超こだわり店:志野/大町市
うま味とコクのコッテリ系代表:とりでん/松本市
味噌・醤油・炒飯どれも絶品!:いけまつ/豊科町
信州ですする本物の北海道ラーメン:ラーメンのぼうや/豊科町
その歯ごたえに思わず唸る!:一力/中野市
懐かしさあふれる穏やかな味わい:大黒/上山田町
気合いの入った絶品スープに脱帽:親ゆづりの味一番/岡谷市
モツ煮込み的スープにどっぷりひたる:ホームラン亭/須坂市
麺の魅力を堪能するつけめんの世界:つけめんの丸長/須坂市
最後の一滴まで飲み干したい満足の一杯:新京亭&上海楼本店/飯田市

孤高のラーメニストの食い倒れ紀行
【信州蕎麦の巻】

ラーメニストを蕎麦好きに変身させた信州蕎麦の実力を大公開!
本物の蕎麦との出会いin開田高原:やまかの湯/開田村
味も値段も「特製」の高級店:泉 /塩尻市
つゆも蕎麦も極上の人気店:まる富/飯田市
R152の超穴場艶やか蕎麦:萌葱の家/茅野市
噛みしめるほどに香る「おやまぼくち」:とみくら食堂/飯山市
噛むほどに風味がわき立つ力強さ:郷土食堂/中野市
自家栽培で自家製粉の本格派:玉川蕎麦/山ノ内町
爽やかな味わいと納得のボリューム:大梅/穂高
味よし、気っぷよし、評判どおりの名店:刀屋/上田市
冷涼な水と大地が育んだ爽やか蕎麦三昧:うずら家&岩戸屋&山一屋/戸隠村
挽きたて・打ち立て・ゆで立て!:ふじおか/信濃町
押し寄せるような風味に脱帽:若月/信濃町

孤高のラーメニストの食い倒れ紀行
【隠れ名物の巻】

信州侮るべからず!執念(?)の食べ歩きで見つけた、とっておきのうまいもの!
自家製ソースとカツの絡みが抜群ドンブリ:昭和軒/大町市&一引/諏訪市
まんじゅうみたいなモチモチ餃子:あずみの餃子店/穂高町
ローメンは伊那風中華焼きそば!?:萬里/伊那市
懐石のような品あるおでん:きね春/飯田市
芳醇なうまみが口にひろがる桜鍋:三河屋/松本市

プロローグ(全文)

出張サラリーマンがビジネス温泉宿に遭遇した日

わたしは東京暮らしのサラリーマンである。当然、職場だって東京だ。ただ、毎週毎週3泊4日、つまり一週間のうち4日間は信州に滞在することを使命とする「出張サラリーマン」なのである。
一日の営業を終え、ビジネスホテルの部屋に向かう夕暮れ時、「さて、今夜の晩飯はどこで食うか、明日の朝食をどうするか」と、真剣に悩む日々を過ごしていた。
ビジネスホテルにチェックインした後、わざわざ外へ食べに出ることが面倒だった。たまにならそれもいい。知らない繁華街をほっつき歩きながら店を探すのも、地元を知るいい機会だと考え、ちょうちんの灯りの多そうな路地裏へと足を向けたりもした。しかし、冷たい風の吹く冬や、雨でも降られた日にはたまらない。夏の暑さのなか、いくら夜とはいえ、汗をかきながら外出するなど、考えただけでも嫌気がさす(ジマンじゃないが、わたしは大の汗っかきなのである)。
同僚の多くは先に食事を済ませてからホテルに入るらしいが、アルコール好きのわたしはそうはいかない。おかずをつまみに一杯やってこそ、一日を締めくくる晩ご飯なのである。が、飲酒運転するわけにもいかず、コンビニ弁当やスーパーの惣菜を肴に自らをねぎらいつつ、一人宴会をつづけていた。毎夜毎夜逃げるように酒に救いを求め、睡魔が襲ってくるまで缶ビールの空き缶を枕元に並べていたのだ。
わたしが「ビジネス旅館」の存在を知ったのは偶然である。
その日、上諏訪で行きつけのホテルがどこも満室だったため、駅前の観光案内所に出向いたところ、宿泊施設一覧表を手渡された。それまで、旅館というのは旅行に使う宿で、われわれ出張サラリーマンには全く縁のないものと勝手に思い込んでいたのだが、なんと、1泊2食6000円という宿があった。これは、いつものビジネスホテル素泊まりの値段と変わらないではないか。さっそく無作為に選んで予約の電話を入れてみた。当日にもかかわらず快く受け入れてくれたのが、その後も頻繁にお世話になることになる旅館夕霧だった。
上諏訪温泉、旅館夕霧は諏訪湖の東岸、温泉宿が建ち並ぶ湖岸通り沿いにある。民家をちょっと大きくしたぐらいで、2階に5部屋があるだけの小ぢんまりとしたビジネス客中心の商人宿である。
結論からいうと、大当り! 当日迎えてくれた女将の人柄が実にいいのだ。笑顔が絶えず、気さくで温かみのある女性だった。8畳ほどの部屋は、飾り気は全くないが清潔でゆっくりできそうだった。なにより、色褪せてはいるものの、畳敷きにはホッとした。
何よりも特筆すべきは食事の質と量だった。ちなみに、その日のメニューは、馬刺し、野菜とベーコンのシチュー、ナスの味噌田楽、串カツ2本、野菜サラダ、鳥肉と里芋と人参の煮物、万能ネギ入りイカ納豆、そして胡瓜のおしんこ3切れ、であった。しかも女将自ら2階まで運んでくれる部屋出し。「いやあ、食えるかな」とは、仰天のひとり言。内心、料金が間違っているのでは? と思わず疑ってしまったほどだ。いざ、夕食を前にして、なにから箸をつけていいのやら、と迷いつつも呑んだビールのうまかったこと。
風呂は小さいながらも手足の伸ばせる天然温泉だし、これはいきなり穴場を見つけたと嬉しくなった。これで朝食も付いて6000円。ビール2本飲んで、都合7200円。感激ものであった。これからの出張で、食事の献立を考えずに済むかと思うと、大げさでなく目の前が一気に明るくなった。
安くて居心地の良い旅館を知ると、今までのビジネスホテル暮らしは何だったのか、と思ってしまう。これは、あくまでもわたしの主観だが、ビジネスホテルはどうも肌が合わないのである。確かに一人だけの密室としての機能性はある。が、無味乾燥な部屋で寝るのは好きになれない。元来わたしはベッドが苦手なのだ。まして、出張料金範囲内となれば格安ホテルと相場は決まっているから、通気性は悪く、狭くて圧迫感があり、そして、すぐに寝なさいとでも催促するかのように、室内全体の明かりが最小限に抑えられている。便座を目の前にして縮こまって入るミニバスも、その湯をためるまでの時間も実にむなしいものである。夏場はとくに問題だ。エアコンをつけっぱなしで寝るわけにはいかないが、止めると蒸し風呂状態になる。かといって窓を開ければ蛾や蚊が入ってきて、安眠をさまたげる。いくら酒の力を借りても閉塞感に陥ってしまう。
毎週の2泊3日から3泊4日の出張営業生活は、畳のある2食付きの宿の方が、食生活面はもとより、疲れの取れ方が格段に違うと断言できる。孤独な出張営業マンに必要なのは、真のくつろぎと心の安らぎであり、精神のゆとりなくして仕事など出来るものではない!
結局、旅館夕霧には2年余の間に50回ほど泊めていただいた。仕事の都合上、朝6時前の食事になっても、「いっこうに構いませんよ」と、嫌な顔ひとつ見せずに笑ってくれた。こんなふうに融通のきくビジネスホテルはない。女将がとことん頑張っている宿なのだ。そこに、気力がみなぎってくる温泉まで備わっているのだから、ビジネスマンにとっての湯治宿といってもいいぐらいだ。
この一泊がきっかけで、少しでも安くて居心地のいい旅館を探すようになった。温泉があればいうことはない。それまでは月曜の会議ともなれば、翌日からの出張をどう乗り切るか、実に消極的に計画を練っていたものだが、現地に入る目的を変えると予定がスムーズに見えてきた。まずは泊まる宿だ。温泉場を最初に決めてから、昼に食べるうまいもの処に照準を当てる。すると、そこへたどり着くには朝一番に訪れる得意先をどこにして、どの地区をまわるのが最も効率的か、何の迷いもなく組み立てられるのだ。
どのみち自宅に帰れないなら、一人気ままに楽しみながら仕事をしようではないか。周到な計画を立てれば官費旅行(?)である。往復の交通費はおろか、宿泊代も会社持ち。こんな恵まれた仕事はない。考え方ひとつで、憂鬱な出張が3泊4日のおいしい温泉旅行に化けるのだ。
信州の湯が「おいで、おいで」とわたしを招いていた。かくして、出張サラリーマンの温泉旅はここから始まった。

★著者プロフィール

“孤高のラーメニスト”こと
一柳雅彦(いちやなぎまさひこ)

おーい。(↑真ん中にいる)

1952年東京生まれ。サッポロビ-ル飲料株式会社勤務。長野県担当の出張生活を経て、現在は神奈川京浜支店の内勤業務。
『東京1週間』(講談社)の「ラ-メン大賞」審査員を務め、「孤高のラーメニスト」と呼ばれるが、本人曰く「度の過ぎた、ただのラ-メン好き」。ラーメン 食べ歩き歴は26年で6000杯以上。6泊7日鹿児島~京都行での35軒36杯が“集中食数”の自己記録。それもこれも「持続する食い意地の賜物。体が自 然とラーメンを求めてしまう」と本人談。
長野県担当になって以来、温泉にハマり、2年半で信州の温泉に延べ530湯以上浸かる。「信州は、もうひとつの故郷になりました」

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