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千曲川ひとり歩き旅


大槻幸一郎/著

装幀:庄村友里[NOEL]
イラスト:石川孝[NOEL]

推薦:C.W.ニコル

2001年3月16日発刊
A5判・228ページ
本体価格1,429円+税(税込1,540円)
ISBN4-900918-36-9 C0095

※本書の売上金の一部は「緑の基金」を通じて森林づくりに役立てられます。


★著者プロフィール


20世紀最後の春、なぜかオレは歩き始めた…。

中年よ山河に還れ! 山河を愛し、未来を憂う
ちょっとくたびれたオジサンに捧ぐ、哀愁とロマンの痛快冒険紀行

川の流れに沿って、ひたすら歩くローテクの旅
音、匂い、気配、季節……歩くといろんなものが見えてくる
源流から信濃川まで全長214キロ
のべ6カ月をかけて歩いた男の体験的発見の旅エッセイ

みなさんも一緒に、この本を旅してほしい。

推薦★C・W・ニコル

かつて、僕らは大ゲンカをした。
林野庁とナチュラリストという立場の違いはあったけれど、二人とも真剣に日本の森のことを考えていた。
……そんな時代も、そして太古から今も、未来も、千曲川はとうとうと流れているのだ。
僕らの人生はどうだろう。
また、精いっぱい流れようぜ。
役人ではない一人の男としてのあなたも魅力的だよ。

目次

はじめに●中年男(おれ)は何ゆえに千曲川をめざしたか

トホホな旅の始まり
北信濃人情紙風船
レタス畑であわや!?
オジサン大いに国を憂う
夫婦善哉in小海
灼熱のルート152
湯けむりの誘惑
フィナーレはセンチメンタル

おわりに●新たな旅はすでに始まっている

[コラム]
大いなる千曲の流れ
/国土交通省北陸地方整備局千曲川工事事務所長・梅田和男
カヌーで親しむ千曲川の自然
/なべくら高原森の家支配人・木村 宏
千曲川上流域における森林施業
/中部森林管理局東信森林管理署長・金澤 猛
世界最大の行進 フォー・デイ・マーチィーズ
/(株)長野映像センター社長・中島正直
野生動植物の宝庫
/信州大学教授教育学部生態学研究室・中村浩志

●はじめに

中年男は何ゆえに千曲川をめざしたか

やあ! 本書を手にしたあなたと21世紀をともに歩めることに、まずは祝杯をあげよう。
20世紀の世紀末、ノストラダムスの大予言ほどの天変地異はなかったものの、日本列島は火山噴火や地震の発生、さらには経済の低迷に加え政治の世界の混迷で、日常生活に少なからずの影響が出ているのではありませんか。
そういう難しいことを考えざるを得ない世紀末に、一人の中年男が日本一長い川、信濃川367キロメートルの上流部を占める千曲川(214キロメートル)を歩いた。
この男、日本の森を北海道から九州まで歩き回っている山官と言われる職業の持ち主である。多くの同僚があこがれる山紫水明の地、信州に移り住み2年近くたった2000年の4月末に、突然この旅を始めたのである。
北アルプスの残雪の輝きがまだまだ目に眩しく映る頃、里には新緑に加え、桜や桃のあでやかな花が咲き始める。春爛漫のうららかな陽気とウグイス等の声に誘われて、古くは島崎藤村、新しくは五木ひろしの名を思い浮かべながら、千曲川ってどんなとこ? と根っからの好奇心に火が着き、ぶらり一人旅に出た── と言えば誠にかっこいいところであるが、事実はやや深刻なのである。
この男には二人の娘がいる。かわいがっていた長女が、4月29日(緑の日)に結婚式を挙げることになっていた。高校生時代まで父親と腕を組み、混み合う渋谷の街中などを歩くという太い心の絆を持つ二人。いつの日か、こんな日が必ず来るとは覚悟していたものの、見知らぬ一人の男にこの絆が引きちぎられるとでも思い込んだのか、いてもたってもおられず、単身生活をエンジョイしていた築40年のオンボロ宿舎から「千曲川の桜でも見てみるか」と重い腰を上げたのである。一度行動を起こしたら最後、中途半端が嫌いな性格と、ノーテンキ、楽天家のB型血液のなせる技、さらに加えて同僚のおだてに乗りまくり、ついに半年近くをかけて気温40度近い灼熱地獄の中、千曲川を歩き終えたのである。
歩行に伴う目の前の映像は、ゆっくりと変化する。あまりのゆっくりさに腹が立つこともあるが、いいこともある。観察眼が鋭くなることであろう。目、鼻、耳等の五感レーダーをピリピリ働かせて、目の前の変化を捉えることができるのだ。速すぎる車社会の中で見失われた地域の人々の生活や、美しい自然の変化を手にすることができる。農地を相手に黙々と汗をかく夫婦。腰を曲げ、雨合羽に身をまといながら、乳母車を押して来た老母等々。歩く日ごとに新たな人々との出会いがある。
こんな時、遠慮しないで声をかけてみたくなる。
「こんちは!」
方言・なまりの難解な返事にパニクルことも時にはあるが、同じ日本人、あわてることはない。
野の草花の可憐な姿、名前は知らなくてもいい。筆やカメラで記録し、気になったら調べればいい。水辺に遊ぶ小鳥たち。一見優雅そうな彼らの社会も結構キツそうだ。ケンカしている者たちもいる。「よせやい。そんなんじゃ人間様と同じだ」とか、独り言のつぶやきもいい。
歌もいい。一人旅は孤独である。誰かに話しかけるまでもなく、時に自問自答する自分におかしくなったりもする。こんな時、歌詞はアドリブで、頭に残るメロディに乗せて歌うのは誠に気分がいい。堤防が「演歌の花道」に思えたりもする。
旅は自分自身を見つめる時間の流れでもある。だから、一人旅が気楽である(ただし、行き倒れでは無縁仏である。連絡先のわかる身分証明書となるべきものは必ず持参を勧める)。
人生50年。もう道も半ば以上を歩んできたはずであるが、この男、未来は無限に広がっていると今でも信じて、新しい発見に心躍らせている。
ウルマンの詩にこんな部分がある。
「青春とは人生のある時期を言うのではなく、心の様相を言う……歳月は皮膚のしわ数を増すが、情熱を失う時、精神はしぼむ」
新しいロマンを求め、旅は続く。さてさて、千曲川の旅に何が起きるものやら。

堂々の第1位!

三省堂書店農林水産省売店調べ(『虹のなかま』より)

★著者プロフィール

大槻幸一郎
(おおつきこういちろう)

※以下は発刊時のものです。
中部森林管理局長。
1948年(昭和23年)、新潟県湯之谷村に生まれ、小学生時代は新発田市、中学高校時代は秋田県で過ごす。宇都宮大学農学部林学科卒業後、昭和45年、 林野庁に採用。北海道(北見)、東北(秋田)、九州(佐賀)の森林管理に携わる。本庁では、昭和60年代の知床半島や白神山地の自然保護問題で林野庁のス ポークスマン担当。その後、環境資源としての森林を生かした国有林の再生に邁進する。平成10年から現職。
趣味は陶芸、蕎麦打ちと捏(こ)ねることにあるが、決してダダをこねて相手を困らせることはしません。

新米副知事おたおた日記大槻幸一郎/著

『千曲川~』発刊後、千葉県副知事に就任した著者の地方行政東奔西走奮闘記。“国がやらなきゃ俺らがやるぜ!”

3件の読者の声 »

2007.04/04

80代・男性●旅行が好きで、大分歩きました。新婚旅行も白馬全山縦走、黒部姥ヶ谷に下山しテント暮らしをしました。信濃三十三番札所めぐりも9回ほど行いました。楽しく読ませて
いただきました。

Comment— 2008 年 9 月 16 日 @ 5:30 PM


2006.11/24

一気に読みました。「こもろふれ愛ウォーク」に3回出場し、完歩(約60km)した経験があり、本屋さんで見て(内容をパラパラっと)思わず買ってしまいました。内容豊富でとても良かったです。ウォーキング大好き人間(オバサン)です。

Comment— 2008 年 9 月 16 日 @ 5:34 PM


私は大槻さんと同じB型人間。感じ方が似ていて、仕事場の黒部峡谷をトロッコ電車に乗り、黒部川を千曲川と対比させながら読みました。「感ずる」力が文章になる。おもしろいものです。水力のあたり実感していました。

Comment— 2009 年 5 月 20 日 @ 4:37 PM


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