そして、教育と地方行政を考えた
宮川洋一/著
2004年3月31日発刊
四六判・264ページ
定価:本体価格952円+税(税込1,000円)
ISBN4-900918-65-2 C0037
表紙イラスト・小林照里
装幀・酒井隆志
品切れ中
私は先生方にお願いしました。
子どもたちに是非教えてほしいと思うことは、
「生命の大切さと共存への思いやり」ということでした。
本書は、私が公職に就いているときの「教育長のつぶやき」をまとめたものですが、教育の世界にいたからというだけでなく、私が人間として生きていく、その生き方を考えていたように思います。
ここに書いたものは、多くの諸先輩が論説してきた道を、私なりにたどってきたものです。……私が選んできたひとつの道筋として、また図書案内としてお読みいただければ幸いです。(あとがきより)
まえがき
第一章●日本の潮流、2001年へ出航
教育改革への取り組み
意識改革の仕方
規制緩和とは
戦後教育の見直し/五日制授業は二度目の実施
責任を回避しない
田中県知事の行政改革
「しがらみ」と仕事
流れを変える
役所は変わる
公務の質の変化/私の抱負
第二章●教育委員会は何をするところか
教育委員会の構成
教育委員会の権能
市長部局との関係
議会と教育委員会の違い
分権型教育の推進と教育委員会の役割の見直し
個の確立/教育改革への疑問/変革への抵抗
「個人の尊重」──日本人のあるべき姿
第三章●教育長のあり方を問う
教育長の資質
雑感/理論より実践
組織の運営と管理者の責任
リーダーシップのとり方/リーダーにとって必要な能力/
リーダーはどうあるべきか/公文書と私文書/公文書の保存
「会議革命」・・日本の会議は不毛会議
人間的魅力とは
人間のヘソは曲がるのである
教える者こそ学ばなければ
第四章●「総合的な学習の時間」は
新しい学習指導要領
子どもたちのからだの異変
腰・ハラ文化の再生
一校一改革、ひとり一改革
規制緩和のなかの教育行政
スクール・マネージメント/継続は力なり
全体と個
真実とは何ですか
第五章●地域で子どもを育てる三つの実践運動
あいさつ・読書・姿勢
「家郷の訓」
父の教え/母親から受けた教え/親が気をけなければならない言葉
「三分の飢えと寒とを存すべし」
夫婦の教育観の不一致
日本のこころの教育
「躾」は身を美しくするもの
子どもの躾は親がする 親の躾は誰がする
「米百俵の精神」と人づくり
「世界がもし一〇〇人の村だったら」
第六章●生涯学習への取り組み
「学社融合」の取り組み
忌々しき発言
「教育」の行きつくところは
「協力社会」で歴史の峠を越えよ
子どもに伝えること
第七章●いま行うべきことは
けじめのとき
教育改革二年目に入る
もっと教育現場を知らなくては
四年間を省みて
●教育長のホームページ
(http://www.matikado.jp/)
1.新教育元年
2.なぜいま教育改革か
3.子どもたちから社会への警告か
4.生きる力
5.普通の人の普通の生き方
6.教育改革の求めてきたものは
7.リーダーシップとマネージメント
8.日本の子どもたちの問題点は
9.なぜ子どもは荒れるのか、キレるのはなぜか
10.学校自己評価について
11.読書のすすめとリテラシィ
12.子どもの教育を「食育」から考える
13.学校と家庭・地域の連携について
14.子育て、家庭教育について
15.まちづくりと人づくり
あとがき
私は、小さな地方都市(長野県中野市)の教育長を一期(四年)務めました。
本書は、そのときの雑感をまとめたものです。
市役所に三十八年勤務し、退職したあとしばらくしてから再度の任務になりました。私は、教育委員会事務局職員として勤めたことはありましたが、教育が専門ではないので、自ら学び、学びながらの四年間でした。ちょうど教育改革のときにあたり、教育論が盛んに論じられていましたので、たくさんの本が出版されていました。私の師となったのは、それらの本でした。
教育については、人それぞれに一家言をお持ちで、一様ではなく、迷いの多い世界です。したがって、多くの考え方の中から、自分の考えに合う選択が必要でした。
いろいろ模索しているうちに、「目からウロコ」のすばらしい論説もあり、読むほどに、半知半解だった教育世界というものが、次第に腑に落ちてきました。なるほどと、蒙を開かれる思いで読んだ本も数多くありました。
ここに書いてあるものは、自分が納得したものを拾い集め、あたかも自説のように書いている、まことにお恥ずかしいものであります。
先輩諸氏が発表されているものから、多くの引用をさせていただきました。文中にそのお名前を入れておりますが、勝手な使用について、あらかじめお許しを得ておきたいと思います。
「生きる力」とは何か、と考えたときに、すぐ思い出すのがつぎの言葉です。
たった一人しかない自分を
たった一度しかない一生を
ほんとうに生かさなかったら
人間 生まれたかいがないじゃないか
山本有三の『路傍の石』の中の言葉ですが、この言葉から、東松山市教育長の荒井桂氏は、教育のあり方として、次のように書いています。
「青少年の一人ひとりが、自分の個性と自分という存在の、かけがえのなさの自己認識に立って(たった一人しかない自分を)、その自分の生き方・あり方を考え、社会の一員として果たす役割や職業に夢・希望をを描き、その実現、いわば自己実現を目指し、(たった一度しかない一生を ほんとうに生かそうと)、いま何をすべきかに思いをめぐらし、目的意識をもって(人間生まれたかいを求めて)、自ら学び、工夫し、努力することだといえるでしょう」と。
そして、「人間一人ひとりの個性とかけがえのなさの認識に立ち、それを大切にし、生かし切る『自己実現』を促し、励まし、扶ける営みが教育の根本原理なのです。教育・教育改革に当たるとき、常にここから出発しここに回帰せねばならない、と自分に言い聞かせてきました」と書いています。(『<どうせ自分なんて>と、つぶやく君に』伊東秀子・藤井昌子編著)
この言葉にすべて尽き、またここに立ち返ると思いますが、ここにまとめたものは、私なりに教育の道をたどってきた経緯であります。
宮川洋一(みやがわよういち)
昭和12年生まれ。他県で生まれ育つが、父親が長野県上高井郡高山村の出身であり、戦時中、6歳のとき中野市に疎開する。以後中野市に住む。中野高校卒業、中野市役所に勤務し、平成8年退職する。
平成11年10月、中野市教育長に就任し、一期(4年)勤め、平成15年10月に退任する。
現在、私設「まちかど図書館」で、読書活動をはじめ地域文化振興に努める。
まちかど図書館
〒383-0015 中野市東吉田1267-7
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