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心の宇宙に遊ぶ


真言僧 川口三國 求聞持法修行

宮川洋一/編著

装幀:酒井隆志

2006年5月11日発行
A5判・60ページ
本体価格476+税(税込500円)


★著者プロフィール
虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)は、弘法大師空海が伝えてきた真言宗の行法である。
50日間小さなお堂にこもり、他者との接触を一切断って、わずかな食事と睡眠で真言を百万遍唱える「行」を成し遂げた高野山大学生の川口三国(さんごく)さんの体験的法話を、読みやすい大活字ブックレットとして纏めました。

もくじ

「行」について考える
〈真言僧の修行から学ぶもの〉
一 はじめに
二 跪く心
三 畏れるもの
四 祈り
五 感謝とありがとう
六 瞑想
七 お経・真言
八 四国八十八カ所巡礼
九 虚空蔵求聞持法
十 法話聴聞

挨拶 三國の求聞持法成満にあたって
信濃高野山勝徳院住職・川口真勝

法話 虚空蔵求聞持法を修して
真言僧・川口三國
一 なぜ、私はこの行をすることにしたか
二 不安のなかで、厳しい行生活に入る
三 幻聴と悪夢が襲ってくる(亡霊に供養する)
四 そば粉ひと握りの一食、空腹を感じる(制限は行者の叡智と知る)
五 煩悩、雑念、妄想に悩む(心のふるさとへ旅をする)
六 結願の日に(法界に祈る)
七 「人と心を通わせること」に、ありがたさを感じる

おわりに

おわりに/宮川洋一

「同行二人」ということばがある。
四国巡礼は、白衣を着て「同行二人」と書かれた菅笠をかぶり、金剛杖を手にして回る。
菅笠の四方には、さらにつぎのことばが書かれている。
「迷故三界城 悟故十方空 本来無東西 何処有南北」
(迷うが故に三界は城 悟るが故に十方は空 本来東西なし いずくにか南北あらん)
迷えば狭い世の中だが、悟れば広い宇宙の中である。もともと東西、南北なんてない、風にまかせて歩くだけ、とでもいうことか。遍路さんは「南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛」と唱えて歩く。お大師さまが一緒に歩いているというのが「同行二人」である。
四国遍路の打ち上げは、お大師さまのおられる高野山に詣でて結願する。
「同行二人」の旅路を、ともにしていただいたお大師さまに感謝をこめて、高野のお山にお送りするのである。
お大師さまは、「吾れ永く山に帰らん」という言葉を残して、この高野山に入定された。その弘法大師廟(御廟)は奥の院にある。奥の院は、高野の町のはずれ、うっそうとした杉木立の森に入り、一の橋から参道を二キロほど行った先にある。参道のまわりには歴史的に名だたる人の墓石群が延々と続いている。「霊の森」を通り抜けたその先に、御廟は、樹齢六百年といわれる杉の巨樹に囲まれて、ひっそりと建っている。お弟子の方たちは、ここにお大師さまの亡骸を祀って、生前同様に日々の給仕を絶やさないのである。
私は高野山にお参りを始めて、すでに十回を数えるが、いつ来てもここは静寂に包まれ、肌がざわざわするような霊気を感じる。
御廟を隔てるように玉川の流れがあるが、昨年は思うところがあって、真勝住職の導きで夜の水行をさせてもらった。水行のあと、御廟の前で祈るのであるが、そこは暗闇だけが支配する幽玄の世界であり、読経の声が響くなかで、日頃の罪を懺悔する素直な気持ちになっていた。
高野山では毎年、無量光院でお世話になっているが、二十数年前、朝の勤行に、はじめて参列して理趣経の読経を聞いた。当時の上網さんが、お経の頭をとられており、「ファーキャーファン」と聴こえるその発声が、遠くインドの言葉のように聞こえて、えも言われぬ感動に浸ったことがある。言葉の妙なる音調が心に響いて遠い世界に導かれたのだろう。
空海の教えは三密行という、「身・口・意」の三つの「行」で一貫している。「手に印を結び、口に真言を唱え、心を仏の世界に運ぶ」のである。
身体の立ち居振る舞いを整えることが「身業」、
正しくお唱えするのが「口業」、
仏の心を自分の心に体していくのが「意業」である。
四国遍路は人生そのもの、まさに三密行を修する旅である。空海の教えは即身成仏であるといわれるが、人生いかに生きるべきかという問いに対しては、一言でいって「いかせ、いのち」を体現することにあるということであろう。
年老いて寿命がくれば、静かに宇宙のみなもとに還っていくのである。その安心を得るのが日常の「行」であろう。「行」のもとになるのは信仰であろうと思うが、私は、あえて信仰という言葉をここでは使ってこなかった。すべてを任せるものに出会った人は幸せであるが、私にはまだ迷いがある。客観的な信頼、心が清まり水のように澄むもの、そこに到る道の模索をしているに過ぎない自分には、まだ何も言えないので、もう少し学びたいと思っている。

教えには理論と実践があり、体験しなければ分かったとはいえない。
なにも分からない私が、入門書にちょっと目を通したくらいの知識で書いているので、まちがった解釈や舌足らずな記述で、ご専門の方には笑止千万のものと思うが、まちがいはご指摘、ご指導ご叱正をいただきたく、伏して願うものである。
★著者プロフィール

宮川洋一
(みやがわよういち)

昭和12年生まれ。中野高校卒業後、中野市役所に勤務、平成8年退職。平成11年より中野市教育長を一期(4年)勤める。

【主著】
『街の肖像<北信濃の風土に生きる>』(信濃毎日新聞)
『教育長はきょうも大忙し<そして、教育と地方行政を考えた>』(小社)
『北信濃遊行<小林一茶「九番日記」を読む>』(小社)

北信濃遊行
小林一茶「九番日記」を読む

産土の一茶……同じ北信濃に住む著者が、一茶の最晩年の句帖から176句を読む。
宮川洋一/著



教育長はきょうも大忙し
そして、教育と地方行政を考えた

在職中に綴った「教育長のつぶやき」を再編集。関連書も多数紹介。教育行政のブックガイドとしてもおすすめ。
宮川洋一/著

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