3月に発刊した、『住み継ぐ家の物語』。おかげ様で好評で、このたび増刷になりました。
当初、地味なテーマなので売れ行きはどうなるか内心心配でしたが、どうしてどうしてジワリジワリと売れています。
この本は民家を生かした住宅づくりを紹介しています。そして作品の紹介に留まらず、そこに住んでいる人が本の中で登場し、家を建てたいきさつやその後の住まいの様子が紹介されています。
その点が、これから家を建てたい、特に民家を生かした家を造りたいと考えている方にお買い上げいただいているのではないかと思います。

と言うことで、発刊ならびに増刷を記念して、著者の川上恵一氏のトークイベント『民家に学ぶ家づくり』を平安堂あずみの店さんのカフェ・ページでささやかに行いました。

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そもそも民家とは何なのか?なぜ民家なのか?
民家とは長年その地域の風土が培ってきたもの。いわば、その地域に適した最良な構造であると川上さんは言います。
ですから適度に手を入れれば丈夫で長持ちします。そしてそういう家に住むことが健康で快適に過ごせる。そしてなによりも、民家風の建築は新築してもすぐなじみ、安心感があるといいます。
たしかに、われわれ日本人には、フローリングにソファーのような洋風なつくりよりも、畳の部屋でゴロっとなるほうが落ち着きます。
見た目のおしゃれさでフローリングを選ぶ人が増えていますが、しばらくするとジュウタンを敷いてコタツを置いてしまう。
そう考えると、日本の風土、文化に根ざしてきた作り上げれたライフスタイルや家の造りはそう簡単に大きく変えることはできないのかもしれません。

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川上さんはさらに言いました。
「ちょっと前にはやった高気密住宅って本当にいいのでしょうか」
「みなさんの腕にビニールをグルグル巻く。ず~と巻いたままにしているといずれは腕は腐ってしまう。それと同じなのが高気密住宅です」
「高気密住宅ではそうならないように強制的に換気します。でもどんなに空気を送り込んでも完全に空気が入れ替わるということはありません」
「だから必ずしも高気密住宅が良いとは言えないのです」
ん!?この話は、WB工法の寺島今朝成氏の持論と同じではないですか。
戦後の日本は早く家がつくられるように、プレハブ住宅を導入し、その後は省エネ住宅と称して高気密高断熱住宅を国をあげて推奨してきました。しかし、そういう日本の風土を無視した家づくりがいかに危険であるか。役人や学者はそのことを認めない(認めたくない?)のですが、実際に現場にいる建築家と棟梁が奇しくも同じことを指摘している。この点に大変興味を覚えました。

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最後に川上さんはこれからの家づくりは「地産地消」であると主張します。
地域の気候に合った家を作る。材料は地元の材料を使う。地域の材料(材木や石、土)を積極的使うことで林業の再生にもなり、ひいては里山の再生にもつながる。地元の職人さんを使うことで職人の技も育つ。これが家づくりの「地産地消」であるとしめくくりました。

今回のトークイベント。時間の関係で川上さんの家づくりや民家に対しての持論をすべて語りつくすということはできませんでしたが、現代の建築を考えるとき実は民家に学ぶべき点は大変多いことがわかりました。

われわれがよく目にする様々な地域の特徴のある民家。なぜこの地域ではこういう民家が多いのか、考えながら見るのが楽しみになりそうです。