編集後記を読み、澤田さん宛てに返事を書きました。挨拶など少しカットして、以下に掲載します。

 澤田編集長さま

 編集後記の最後にお書きになっていた「どれも地球に負荷のかかる火力、水力、太陽光、風力、地熱……ベストはなくてもどんな発電方式を選ぶのか。原子力は是か非か? 子孫に何を残していくのか?」について同感です。しかし、この問題はとても難しく、悩ましくあります。考えるための情報が足りない・偏っていると思うのです。

またLooopの話になりますが、発電効率の高い自然環境のために、太陽光発電が乱立する北杜市では、これまで1400基(合計で約100メガワット)が造られています。霧ヶ峰下のLooopメガソーラーは1基で89メガワットですから、いかに巨大か分かります。

「脱原発」=「再生可能エネルギー」という等式に出来上がっていて、まるで「産めよ増やせよ」(地に満ちよ)ごとくの、パワーシフトへの大合唱です。そうではない情報が、考えるために必要なはずです。

地域の人が環境を守るために反対して、中央の環境団体は推進をしている、という構図は、これまで見たことがありません。エネルギー大量消費時代の、ねじれてしまった環境問題だと思います。花森さんの時代にはなかったはずです。

ですから、編集後記で、ご意見を寄せてくださるように呼び掛けるととも、読者のみなさんに、こういう時代の『暮しの手帖』らしい情報を、誌面を通して、ご提供してほしいのです。ぼくもそういう記事から学びたいと思います。

そのために、まずは現地からスタートしていただきたのです。澤田さんに歩いていただきたいな、と思います。ぼくが取材などで関わった場所だけでも、霧ヶ峰下、上田市真田町、佐久市望月町、北杜市などがあります。住民の方々の切実な訴えがあると同時に、歩いて気持ちのよい自然環境でもあります。

最後に、『たぁくらたぁ』編集委員の岡本一道が、貴社からの返事をいただいた後、小誌メンバーに送ってきたメール(2月22日付)をコピーしておきます。今後ともよろしくお願いいたします。

野池元基

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岡本です。

私のところにも、皆さんと同じ返事が昨日届きました。

39号に書いたことの繰り返しになりますが、花森安治は、戦時中、大政翼賛会実践局宣伝部に勤務して「欲しがりません勝つまでは」などの国策宣伝標語の製作に関わりました。戦後「暮しの手帖」を発行し続けたエネルギーは、一生を懸けてこの埋め合わせをしたいとの思いからだったと私は理解しています。

昨日まで戦争賛美をしていたほとんどの知識人が、終戦と同時に、まるで無かったことのように手のひらを返して居直り続けた事を思えば、花森の生きざまに私は共感を覚えます。

影響力のある立場にあるものは、発する言葉に慎重であり、責任を持たなければなりません。

今回の『暮しの手帖』でのLooop推しの記事をみて、契約変更をした良心的な消費者は事の真相を知ったらきっと後悔するでしょう。

今回の問題の本質は、花森が標語によって、多くの人々に与えた影響と同じ構図と言えるのではないでしょうか?
現行の『暮しの手帖』が花森イズムを踏襲しているのかどうかが問われる試金石だと思います。

(以上)

この返事に関わって一つの図を掲載しておきます。地方にばかり押し寄せる太陽光発電の現状が分かるはずです。

s_fit2.jpg

この図の説明をします。FIT(固定価格買取制度 2012年7月1日開始) より前に発電していた設備の容量合計が、棒グラフの青色。FITがスタートし、その認定を受けたのが緑色、その中でに発電しているのが茶色です。(「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」参照)

「再エネ推進」の中心地は東京です。「エネルギーの地産地消」などいう旗も東京で振られます。だったら、 「どうぞ、都心にメガソーラーを」と推したくもなります。ちなみに、Looopの霧ヶ峰下メガソーラーの敷地面積188ヘクタールは、皇居と明治神宮を合わせた面積です。同じくLooopがかかわる、上田市あずまや高原「らいてうの家」の隣の計画地の面積は、日比谷公園の1.3倍です。