『たぁくらたぁ』


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『たぁくらたぁ』45号を6月15日に発行したあました。目次は以下をご覧ください。

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表紙作品♦小池輝人(こいけ あきと)2003年生まれ 上高井郡在住

『木』——学校の勉強も飽きて、暇にまかせて点々をうっているうちにこんな点描画ができた。「なんとなく、適当に、時々」描いているんだそうな。信州ザワメキアート展2017入選。【関 孝之/ながのアートミーティング】


伊達市の市役所本庁舎は東電福島第一原発から北西約60キロに位置する。2011年3月18日、福島県による伊達市内の空間放射線量の調査が始まり、22時20分、庁舎敷地内で毎時7.35マイクロシーベルトが記録された。『たぁくらたぁ』の取材で今年1月に話をうかがった島明美さんの自宅は、この庁舎から500メートルほどの住宅地にある。

2011年7月、伊達市は除染事業の概要をまとめ、国や県の対応を待たずに「除染は市内全域を行う。宅地・住居を最優先する」という基本方針を示した。しかし、1年後の8月、市は大きく方針を転換した。除染計画の2版をつくり、被ばく線量が年間1~5ミリシーベルトの地域(Cエリアと区分)は「除染の必要なし」としたのだ。Cエリアは、市全域の3分の2の面積にあたる。市役所も島さんの家のある住居地区もCエリアである。島さんは自宅の庭の除染を自分でし、除染土は2年間も庭に積んだままにせざるを得なかった。

なぜ伊達市は方針を変えたのか、その間に何があったのか。「当事者性」に立って市政と向かい合ってきた 島さんの記事が、その経過を伝えている。

 shimasan1.jpg除染のために防護服を着る(2014年)

jyosen.jpg自宅に保管した除染土(2014年)

市の除染計画によって、安全が確保されたと心から信じた市民がどれほどいただろうか。2014年1月の伊達市長選で、市長は「追加除染」を公約に加えて当選した。しかし、「追加除染」とは放射性物質を取り除くのではなく、すでに安全であるにもかかわらず危ないと思う市民のその不安を取り除く、つまり「心の除染」である、と当選後に市長は説明したのだった。

放射能汚染の危険性は今も日常生活のなかにあり続けていると、島さんは考えている。たとえば、マスクをするかしないか、の話である。 市民が着用していたマスクからセシウムが検出されたという調査報告を例に引いて、「原発事故の当時も今もですが、子どもたちはマスクをずっとしてますが…やはりぞっとします。そしてマスクを外させようとした学校側の対応に今更ながら表しようもない怒りを覚えます」と言う。

これについては次のような経緯がある。東京大学アイソトープ総合センターの助教の2012年の調査で、マスクからそこに付着したスギ花粉に含まれたセシウムが検出された。助教は研究グループとして調査を続行、2014年の調査でもセシウムが検出、加えてこの時には、セシウムボール(原発事故の時に大気中に放出された、放射性セシウムがガラスと混じり合った微小な球状の粒子)も見つかったという。さらに2016年10月には、福島県において住家内で着用されたマスクからセシウムホールが発見された。

島さんはさらに指摘する。セシウムボールと呼ばれているが、「違う放射性核種もあるのです。例えばそれはプルトニウムです。現在も国内外からの研究者がエアサンプラーなどで集めたチリなどから、それを探しているというのが実情です」 。しかも、こうした調査の結果が公表さるのは、1年先2年先ではないか、まるで後出しジャンケンのようだ、とも。

shinbun.jpg (茨城新聞 2018年1月14日)

 こうした現実を、「「科学的には安全だ」と言っても、それが市民の心の安心に繋がっていないという現実」(伊達市長メッセージ 2014年4月24日)という一言で片付けることができるだろうか。心のの安心を目指すのが「心の除染」だった。なお、「心の除染」にはちゃんとした正式事業名がついている。「低線量地域詳細モニタリング事業」(2014年度)。これを請け負ったのは天下の電通だった。

島さんの闘いに終わりはまだ見えない。


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『たぁくらたぁ』44号が2月15日発行になりました。目次は以下をご覧ください。

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表紙作品♦宮本尚幸(須坂市)

三好達治の詩『雪』——「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ」。作者独自の筆の走らせ方で書く。雪がシンシンと降り続ける風景。安心して眠る太郎と次郎。【関 孝之】


 間もなく発行の『たぁくらたぁ』44号の、浅井大希さんの連載「 No pasarán!(ノ パサラン) やつらを通すな!」は、名護市長選の報告である「分断された町」です写真も送られてきたのですが、4ページの記事は文字で埋め尽くされました。原稿が届いたのは2月7日、印刷所へ入稿する前日であり、増ページはできませんでした。浅井さんが撮影した写真も見ていただきたく、記事の一部(太字)とともに、ここで紹介いたします。

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開票速報を見守る稲嶺進前市長と支持者たち

「今回の名護市長選挙に、国は総力をあげて介入してきた。公明党が渡具知陣営につくと、全国から学会員が派遣され、辺野古反対の名護の学会員の説得にまわった。レンタカー数百台が期日前投票所を往復した。100人を越す与党国会議員団が連日名護入りし、企業と団体をまわり組織票を固めた。圧倒的な力の差が見せつけられた。」

稲嶺市長の退任式(2月7日)

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「辺野古の隣、大浦湾の奥に二見という集落がある。ここに具志堅君たちは2千坪の土地を借りて、農業やモノづくり、コンサートやワークショップなどのイベントをする居場所を確保した。「ワカゲノイタリ村」と名付けた。」

 稲嶺市長の決起大会で、彼がしたスピーチが忘れられない。

「自分の家族は、公明党を支持しています。(どよめき) ほんとです。毎回選挙になるたびに揉めます。今回も言われました。焦点は基地じゃないと。俺ら市民と市長が、何をしても基地建設は止めることはできないと。だけど相手候補が掲げてる、ほんとに明るく前向きな名護市を目指すって、まずその、無力さを突き付けている時点で、もう明るくないだろって思います。俺が知ってる名護市や、俺が住みたい名護市っていうのは、自分たちが屈せず、自分たちの可能性、資源、人を活かして、自分たちの街づくりをやっていける、そんな名護市です。この場所と土地の人たちにはそんな可能性がいっぱいあって、稲嶺市長はその可能性を信じてこれからの4年間も頑張ってほしいです」

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本日(2月9日)、オスプレイのまた落下した部品が伊計島のビーチで発見されたというニュースが流れました。海上に浮かんでいたのを清掃員が発見し、ビーチに引き上げたということです。重さは約5キロ。

「いくら沖縄県が抗議しても、民間地の上を飛ぶ訓練は続く。あまりに事故が続くのでこちらの感覚が麻痺してくる 。」


  連載「気になる言葉」の原稿が編集委員の安部憲文から届いた。 そこに、ななおさかきの詩「星を喰べようよ」が引用されていた。原稿を読んで、手元の詩集で確認したら間違いがあった。安部さんに連絡して指摘すると、「いや、ちゃんと確かめました。間違っているはずはありません。ちょっと待ってください。調べますから」と言う。で、その結果は? というのが下記の安部さんの文章だ。詩も載せておこう(連載とは別ページに全文掲載した)。

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s-img523.jpg(『地球B』初版より転載)

編集長から電話をいただいた。ナナオの詩「星を喰べようよ」の引用に間違いがある、とのこと。確認してみると、手持ちの詩集『地球B』は2006年4月14日第11刷。編集長の『地球B』は初版1989年11月13日発行。

ナナオ他界(2008年12月23日)後発行された『ココペリの足あと』(初版本の詩が掲載)で確認してみると、2カ所の違いを発見。「ロボット~」の1行が11刷にはなく、ひとつ上の行が「原子力発電所つくった」で終わり、11刷は「誰かが 歌い出す」ではなく、「ちっちゃい子供が 歌い出す」となっている。ちなみに第2刷の『地球B』(1991年9月23日)も11刷と同様だった。

ナナオ・サカキ朗読会のDVD(非売品)を観ると、ナナオは初版本を手に「ロボット~」と朗読している。この朗読会は編集長が主催者代表で東日本大震災のちょうど5年前の2006年3月11日長野市で開催された。なぜ、ナナオは「ロボット~」と朗読したのか。 (安部憲文)

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( ↑ 2006年3月11日長野市での朗読会のDVD―非売品)

s-s-pict0023-iloveimg-converted.jpg (『地球B』を朗読するななお)


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『たぁくらたぁ』43号が10月20日発行になりました。目次は以下をご覧ください。

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表紙作品♦宮下宜續(風の工房)

犬か、猫か、はたまた奇妙な生き物か? まあそんなこたあどーでもいいか。なんだか気持ちのよい陽だまりを散歩するナニカ。「なんかモンクあっか?」と言いたげな。【関 孝之】


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『たぁくらたぁ』42号が2月10日発行になりました。目次は以下をご覧ください。

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表紙絵の稲荷山養護学校「作品」

これは文字ではありません。文字になる前に文字。文字になることをやめた文字。無言の文字。眼を閉じてみると、おしゃべりな墨たち(森貘郎)

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『たぁくらたぁ』が発行になった6月20日、長野市民新聞にコラムも掲載されました。こちらは、「たぁくらたぁ」の意味に触れて、この号の紹介も少ししています。おまけで掲載いたします。

「たぁくらたぁ」のススメ

  仲間たちとつくる『たぁくらたぁ』42号の編集作業がやっと終わって印刷所に入れた。発行日はこの記事が掲載される今日だ。

 この雑誌は原発事故やリニアなど時事の話題が多いけれど、暮らしの目線に立っているので小難しくはないはず。連載は、遠そうで近くに感じる記事ばかり。山奥でのちょっと変わった子育てや盲導犬の話もあるし、パリのファッションデザイナーも書いている。

この女性デザイナー、夜中に梯子から落ちて膝が凹むほどの骨折。病院に運ばれると、医師たちは「夜半の手術は元気を出さないとね!」と言って、音楽をのりのりにかけて手術したというのだ。これが今号の記事。文化の違いは興味深い。所変われば品変わる。

 ところで、「たぁくらたぁ」の意味が分からない、という方もいるはず。ここら辺りの方言だが、日常会話で耳にすることはまずない。もう死語に近いかも。標準語に訳せば、「バカモノ(馬鹿者)」である。この方言が身についた年配の方々は、たいがいが雑誌名を見て笑う。面白がっているのか、呆れているのか、よく分からない。

 雑誌名を提案したメンバーは、こんなエピソードを持ち出した。子供の頃、ふざけてスイカ泥棒をした。それを見つけた農家のおじさんが怒った。「この、たぁくらたぁ!」。その後で、おじさんは言った。「そのスイカは不味い。こっちを食え」と。それを聞いて、そりゃいいや、と雑誌名は即決した。

 方言は、地域の中で使われる。かつての地域は共同体のようなものだったから、経済的に豊かではなくて人手も不可欠だし、たぁくらたぁだって役に立つ。みんな一緒に生きていくのが基本。だから、方言は否定的な表現にも優しさを含むのだと思っている。

ネット世界のように、誰かを蔑んだり異論を見下して攻撃したりするのと、地域は社会の在り方が違っていた。なので、排他や敵対関係に一方的に進みゆくことにはならない。政治の世界は、敵国をつくり、国内に危険分子を想定して排除しようとする方向へ突き進んでいる。ネット世界のまるでコピー! 賢くなり過ぎると、そういう世界のもっともらし論理に巻き込まれる。

 共謀罪が国会を通過し、「委縮」を懸念する声が上がる。でも、たぁくらたぁには、委縮なんてむずかくて分からないし、できない。変わらず雑誌を出し続けるだけだ。 


長野県内でLooop(ループ)社が関わる大規模太陽光発電所の計画は、もう一つあります。上田市真田町のあずまや高原に計画されている敷地面積2.1ヘクタール、891キロワット(0.891メガワット)、ソーラーパネル3430枚の発電所で、予定地は上信越国立公園内にあたります。事業者は投資会社HJアセットマネジメント社(本社:東京)で、Looopが設置工事を請け負うことになっているのです。

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この計画地に道路を挟んで隣接しているのが、平塚らいてう記念施設である「らいてうの家」です。NPO法人平塚らいてうの会が2006年に建て、「平和・協同・自然のひろば」と名づけて運営しています。平塚らいてうの会会長でありこの家の館長でもある米田佐代子さんが、この計画に反対する記事を『たぁくらたぁ』41号に寄稿してくださり、「国立公園内の太陽光発電設備が自然環境や景観を破壊することへの異議と同時に、「人間と自然の一体化」を求めたらいてうの思いを受け継ごうという理念が壊されることに危機感がある」と述べておられます。

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米田さんはブログ「米田佐代子の「森のやまんば日記」」で、この計画について何度も書いておられます。ここにメガソーラーを建設すしたら環境にどんな影響を及ぼすのか、という論点よりもむしろ、暮しの在り方から太陽光発電を問うており、この問題を考えていくための想像力を広げてくれるはず。『たぁくらたぁ』の記事とともに、ぜひ読んでいただきたいのです。

拝啓 『暮しの手帖』様    『暮しの手帖』86号「電力は選ぶ時代」に異議あり!   (他にも関連記事がいくつもあります)

また、Looopの霧ヶ峰下の メガソーラー計画については、以下のブログに詳しく情報が載っているので、こちらもぜひご覧ください。

太陽光発電問題連絡会 

さて、3月25日に『暮しの手帖』最新号が発売になります。「電力は選ぶ時代」について、編集部宛てに私たちが送った意見について、どんなふうに答えてくれるのでしょうか。(続く)


『暮しの手帖』の最新号(2-3月号)で「電力は選ぶ時代」という特集が組まれています。それは、こんな説明書きから始まっています。

「昨年4月、「電力自由化」が始まり、今までとは別の電力会社から電気が買えるようになりました。
しかし、大多数の家庭では、よくわからないからとそのままになっています。
実は、電力を選ぶことは、これからの暮らしを選ぶことに繁がっているのです。
よくある疑問から一緒に考えてみませんか。」

確かに。考えることは大事。でも、ミスリードがあっては困ります。

特集は、Q&A形式での解説が続き、最後に“ユニークな新電力会社”として、「自社の発電所を持ち、再生可能エネルギーを中心に販売するなど、消費者との繋がりに特長のある4社を紹介します。」とあって、そのトップで紹介されているのがLooop(ループ)です。

この Looopは、『たぁくらたぁ』でもいくつかの記事で取り上げています。ただし、「お勧め」ではなく、環境破壊を招く巨大メガソーラーの建設を計画している会社としてです。メガソーラーとは、出力1000キロワット(1メガワット)以上の太陽光発電所のことをいいます。一般家庭の屋根に載っている太陽光発電は3~4キロワットです。

小誌が取り上げたのは、霧ヶ峰下(諏訪市四賀)の山林を伐採して造るLooopのメガーソーラー計画で、出力は89メガワット、敷地面積は諏訪湖の7分の1、設置されるソーラーパネルは31万枚というもの。パネルを一列に並べれば新幹線のレール幅ぐらいで300kmにも達します。

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( 大分県杵築市のメガソーラー 出所:ハンファQセルズジャパン)

これは「日経テクノロジーonline」というWEBサイトにある「林地を切り開き10万枚のパネルを並べた杵築市のメガソーラー」という記事に載っていた写真で、このメガソーラーの出力は約24.5メガワットです。

Looopが計画している 霧ヶ峰下のメガソーラーの規模は、この3倍あまりです。

Looopのメガソーラー計画地の直下で、下流域にあたる地元4地区は、豪雨時の災害の恐れなどから、計画の白紙撤回を求めています。しかし、Looopは受け入れません。

そのような会社を、『暮しの手帖』が紹介しているのです。しかし、それはこの事実を知らなかったからゆえのはず。だから、この計画の反対している地元当事者や、計画地を訪れて記事にした小誌のメンバーは投書したのです。拝啓 『暮しの手帖』編集部さま、と・・・。(続く)


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『たぁくらたぁ』41号が2月10日発行になりました。目次は以下をご覧ください。

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表紙絵の作者は、おばたまゆみさん。

時間の渦巻きが消えてゆく白い日。 人は虹のように遠い空を夢みることができるか。(森貘郎)


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