4 月 2015


 行政用語ではトンネルを掘って出る土砂の処理を「発生土利用」という話を聞いてやりきれない思いがする。

  トンネルを造ると出てくるのは土や岩石だけではない。プラスチックファイバー(数センチメートル程度の長さのポリプロピレン製の紐のようなもの)を含む特殊なセメントも「廃棄物」として大量に発生する。掘った穴をまず補強するためのセメントだ。これを削り、鉄筋と良質のコンクリートで目的に沿った頑丈なトンネルが造られる。

 トンネルを掘るときに出る土や岩石とトンネルを造る時に出る莫大な「廃棄物」とが区別されることはほとんどない。

  地下から掘り出された岩石は私たちが生活する表層の「土」とは異質のものであることを忘れてはならない。掘り出された岩石は、雨にさらされその土地の成分とは異なる無機塩類が溶けだす。高濃度の金属類や重金属類が溶出する岩石、それに、高い放射線(自然由来の)を放つ土砂もある。

  トンネルの「発生土」の「利用」の実態は、おおむね、沢への埋め立て(投棄と言い換えても良い)だ。その結果、沢水(伏流水も)の水質を著しく変えてしまうことが少なくない。地下水の水質を変えてしまった例もある。

やがて、劣化したプラスチックファイバーから化学物質が溶出するかもしれない。

  掘り出された新鮮な岩石には養分はなく植物が根付かない。粉々にされた岩石の大地からは、雨水が吹きだし、法面がはがれるなどの現象が絶えない。

やがて、その土地が造られたものであることも忘れられ、局地的な大雨によって、土砂災害誘発する可能性だって否定できない。

  先達が言い続けてきたように「うまい話には裏がある」と思った方が良い。「利用」は面倒な処理をごまかすときに使われることばでもある。何しろ、1キログラム当たりセシウムが100ベクレル以下の採石なら、建材として「利用」できる時代なのだ。


JR東海が2027年に開業を予定しているリニアの東京・名古屋間の全長は286km、そのうち86%がトンネル(長野県内は90%超)で、合わせれば250kmになる。長野から東京まで地底トンネルを掘ったとしてもまだ余りある距離だ。リニアは地下40メートルよりも深いところを走る。最高速度は時速500km超。運転手はいないらしい。暗黒の地底下を飛ぶ「モグラ列車」。小誌33号の「無謀なトンネル」で松島信幸さん(理学博士、地質学)はこう例えた。

乗り物としてのリニアの恐さ(危険性)については、ここでは省略する。乗らなければいいのだから。新幹線の何倍もの電力消費やJR東海が赤字で経営破綻した時の問題は他人事ではないが、難工事ゆえに完成しないかもしれないから、これも置いておく。しかし、建設工事が始まるとすぐに生じる問題があって、それが水枯れと廃棄土砂処理(行政用語では発生土利用という)である。

水枯れ(ということは、どこかで異常出水)は、工事で地下水脈が分断されるので起こる。事実、山梨県のリニア実験線の建設で沢の水や井戸水が枯れた。赤石山脈(南アルプス)にトンネルを掘ればどうなるのか。松島さんは、「山は“水がめ”であり、大地は“水の貯金箱”である。山に穴を穿つことは、水がめの栓を抜くことである。その地下水の流出が途絶えることない」と指摘している。自然が壊れれば、山村の暮らしも影響を受ける。

本物もモグラがところどころに土盛り(モグラ塚)をつくるように、リニアのトンネル工事も掘った土砂をところどころで地上へ出さなくてはならない。このために概ね5㎞おきに深く大きな立穴を掘る。山岳地帯では横や斜めの穴になるが、どれも立坑と呼ばれる。この立坑から出される大量の土砂をモグラ塚のようにはしておけないので、どこかへ運んで捨てなくてはならない。東京・大阪間の工事ならば、トンネル廃棄土砂は諏訪湖を埋めたられるほどの量にも達するともいう。

では、長野県内ではこれをどこにどう処理するのか? 長野県リニア推進振興室に聞いてみた。捨て場については「まだ決まっていない」との返事。「では、候補地は?」。「まだ公表していない。県が候補地をとりまとめてJR東海に示している段階なので、いまは公表できない」ということだった。県が候補地を探してあげているとは知らなかった。

リニア計画の環境アセスに対して、長野県知事は意見書を提出し、その上でJR東海との基本同意を交わしたのだが、そこには捨て場にかかわる環境影響評価は含まれていないのだ。これでは、全部が決まっていないで見切り発車した計画に同意したのと同じだろう。そう問うと、「確かにおっしゃることも分かる」と県の担当者は言いながらも、環境アセスが追加で出てきた時に県知事が環境保全にかかわる意見を提出するので大丈夫だと説明した。しかし、県が自ら選んで示した候補地に関して、県知事がいかなる意見を述べるというのだろうか。結局、自民党と公明党の与党合意のような形で決着するのは目に見えるような気がする。

リニア建設によるマイナスよりもプラスの方が大きいと、県は考えているだろう。マイナスについてはきちんと評価を示すような仕組みにしていないが、プラスの方はしっかり数値で示す。それが世を闊歩する「経済波及効果」というやつだ。これについても県の担当者は説明した。そこに弾き出されている数字に、みなさんはどんな意味があると思うだろうか。

(つづく)


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長野県が田中康夫知事であった「信州の春」のようだった時代(2000年~2004年)、東京と大阪をむすぶリニア計画は眠ったままで県政の話題にあがることはなかった。赤石山脈(南アルプス)に穴をあけて長野県境を越えてくる総事業費9兆円のこの計画が、もしもあの当時に具体化したとすれば、田中知事が「脱リニア宣言」をしたかどうかは分からいながらも、村が壊されると訴える山村の声を汲み上げ、原発1基分の電力を消費するリニアの是非をそもそも論から問い直しただろう。

田中県政は遠くなり、リニア計画が進み始めている今も、その問い直しの必要がなくなったわけでは全くない。『たぁくらたぁ』では次号からこの問題の連載をスタートさせ、赤石山脈を貫くトンネルの坑口(これは山の傷口)の予定地となっている大鹿村から発信してもらう予定である。

4月2日の信濃毎日新聞の一面トップに、長野県がJR東海とリニア建設について基本合意を取り交わしたという記事が載った(上の写真)。見出しに「用地取得事務 委託協定」と書いてある。なぜ自治体が一企業の事業に手を貸すのか。

県庁のリニアに推進振興室に電話をして質問をした。法律の説明から始まって、「環境保全」や「発生土置き場」、「経済波及効果」などに話は及んだ。答えは丁寧で分かりやすかったが、もっともだと納得できるような中身はなかった。既成事実を決まり切ったかのように積み上げていくだけという行政の見あきた姿があるばかりだ。「壊す」でも「創る」でもなく、ただ「調整」の阿部県政。調整はいつも力の強い側に向いて行われる。

では、いったい何がどう納得できなかったのか。それをこのブログで報告しようと思う。 ただ、ぼく自身はこれまでリニア問題を詳しく調べてきたわけではないので、既知の事実の後追いになってしまうかもしれないが、リニア計画の現状が少しは見えるかもしれない。

33.JPG 『たぁくらたぁ』33号より

p4221343.JPG 『たぁくらたぁ』34号より

なお、『たぁくらたぁ』33号のリニア特集「リニアと伊那谷の今」(杉浦瑞希ほか)と34号の「地球から考えたリニアと伊那谷」(久保田雄大)は、リニアのルートにあたる地域からの視点で書かれているので、こちらはぜひお読みいただきたい。

野池元基


 辺野古新基地の建設をめぐって翁長雄志沖縄県知事と菅義偉官房長官の会談が4月5日に行われた。その冒頭は公開され、沖縄タイムスが冒頭発言の全文を掲載した。菅官房長官のまったく誠意のない発言はここではカットして、全国の人々への発信でもある翁長知事の発言を紹介したい(途中から)。

 なお、翁長知事と菅官房長官の会談は、菅氏が先に説明し、翁長氏が反論・質問した主な内容はゴシックで示されている。

翁長雄志知事

 私は今日まで沖縄県が自ら基地は提供したことはないんだということを強調しておきたいと思います。
 普天間飛行場もそれ以外の取り沙汰される飛行場、基地も、全部戦争が終わって沖縄県民が収容所に入れられて(地元に)いない中で、あるいはいるところは銃剣とブルドーザーで、いないところは普天間飛行場も含めて基地に変わったんですね。私たちの思いとはまったく別に全て強制接収をされたわけであります。
 自ら奪っておいてですね、県民に大変な苦しみを今日まで与えて、今や世界一危険だから、普天間危険だから大変だという話になって、その危険性の除去のために沖縄が負担しろ、と。お前たち代替案は持っているのか、日本の安全保障はどう考えているんだ、と。沖縄県のことも考えているのか、というこういった話がされること自体が日本の国の政治の堕落ではないかと思っております。
 日本の国の品格という意味でも、世界から見てもおかしいのではないかなと思っておりまして、この70年間という期間の中で、どれくらいの基地の解決に向けて頑張ってこられたかということの検証を含めて、そのスピードからいうと、責任はどうなるのか、これもなかなか見えてこないと思っています。
 一昨年でしたか、サンフランシスコ講和条約の発効の時にお祝いの式典がございました。日本の独立を祝うんだ、若者に夢と希望を与えるんだという話がありましたけれど、沖縄にとっては日本と切り離された悲しい日でありまして、そういった思いがある中で万歳三唱を聞いたりすると、本当に沖縄に対する思いはないのではないかなと率直に思いますね。
 27年間、サンフランシスコ講和条約で日本の独立と引き換えに、米軍の軍政下に差し出されて、その間、27年の間に日本は高度経済成長を謳歌(おうか)した。私たちはその中で、米軍との過酷な自治権獲得運動をやってまいりました。想像を絶するようなものでした。官房長官と私は法政大学で一緒でありますけれど、私は22歳までパスポートを持って、ドルで送金を受けて、パスポートで日本に帰ったもんですよ。そういったものを思い浮かべると、あの27年間、沖縄が支えたものは何だったのかなと大変思い出されます。
 官房長官が「粛々」という言葉を何回も使われるんですよね。僕からすると問答無用という姿勢が大変埋め立て工事に関して、感じられて、その突き進む姿というのはサンフランシスコ講和条約で米軍の軍政下に置かれた沖縄、そしてその時の最高の権力者がキャラウェー高等弁務官だったが、その弁務官が沖縄の自治は神話であると言った。
 私たちの自治権獲得運動に対して、そのような言葉でキャラウェー高等弁務官がおっしゃって、なかなか物事は進みませんでしたけど、いま官房長官が「粛々と」という言葉をしょっちゅう全国放送で出て参りますと、なんとなくキャラウェー高等弁務官の姿が思い出されて、重なり合わすような、そんな感じがしまして、私たちのこの70年間は何だったのかなというようなことを率直に思っております。
 プライス勧告と言いまして、27年間の苦しい中でも強制接収された土地をさらにプライスさんという方がおいでになって、強制買い上げをしようとした。とっても貧しい時期でしたから、県民は喉から手が出るほどお金が欲しかったと思うんですけど、みんなで力を合わせてプライス勧告を阻止したんです。ですから、いま私たちは自分たちの手の中に基地が残っているんですね。こういった自治権獲得の歴史を私は「粛々」という言葉には、決して脅かされない、このように思っております。
 上から目線の「粛々」という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していくのではないかとこのように思っております。
 ですから私は辺野古の新基地は絶対に建設することはできないという確信を持っております。
 こういった県民のパワーというものは、私たちの誇りと自信、祖先に対する思い、将来の子や孫に対する思いというものが全部重なっていますので、私たち一人一人の生きざまになってまいりますから、こういう形で粛々と進められるようなものがありましたら、私はこれは絶対に建設することは不可能になるだろうなと思います。
 そうしますと建設途中で頓挫することによって、起きうる事態はすべて政府の責任でありまして、その過程で見えますね、世界からも注目してますので、日本の民主主義国家としての成熟度が多くの国に見透かされてしまうのではないかと思っています。
 そして、官房長官にお聞きしたいのは、辺野古基地ができない場合、これはラムズフェルド国防長官が普天間は世界一危険な飛行場だと発言され、官房長官も県民を洗脳するかのように普天間の危険性除去のために辺野古が唯一の政策だとおっしゃってますけど、辺野古ができなければ、本当に普天間を固定化されるのかどうか、これを聞かせていただきたいと思うのですね。ラムズフェルドさんも官房長官も2人とも、多くの識者も、世界一危険な基地だと思っているのに、辺野古ができなかったら固定化ができるのかどうか、これをぜひお聞かせ願いたいと思っています。
 それから、普天間が返還されて、辺野古にいって4分の1になるんだという話があります。嘉手納以南が返されて相当数返されるというのですが、一昨年、小野寺前防衛大臣がお見えになったとき、一体全体それでどれだけ基地は減るんですか、とお聞きしたら、今の73・8%から、73・1%にしか変わらないんです。0・7%なんです。なぜかというと、那覇軍港もキャンプ・キンザーもみんな県内移設ですから、県内移設でありますので、普天間が4分の1のところにいこうが変わらない。おそらく、官房長官の話を聞いたら、全国民は相当これは進むなと、なかなかやるじゃないかと思っておられるかもしれないけれど、パーセンテージからいうとそういうことです。
 それからもう一つ、那覇軍港とかキャンプ・キンザーなどは2025年まで、2028年までには返しますと書いてあるんですが、その次に「またはその後」と書いてあるんですよ。これ日本語としてどうなんだろうかと思うんですけどね、2025年、2028年までに返すんだということを書いておいて、その次に「またはその後」という言葉が付いているんですね。これでは、「話クヮッチー」といって沖縄では「話のごちそう」というのがあるんですが、いい話をして、局面を乗り越えたらそのことは知らんぷりというのが戦後70年間の沖縄の基地の問題だったと思うんですよね。いまこうしておっしゃられてオスプレイはどこそこに持っていくんだ、あるいはたくさんの基地が返るんだという話をされても、「またはその後」が付けば、50年くらい軽くかかるんじゃないかという危惧は、沖縄県民はみんな持っているんですね。ですからこういうところをぜひ、ご理解いただきたいと思っています。
 安倍総理が「日本を取り戻す」という風に、2期目の安倍政権からおっしゃってましたけど、私からすると、日本を取り戻す日本の中に、沖縄は入っているんだろうかなというのが、率直な疑問ですね。
 それから「戦後レジームからの脱却」ということもよくおっしゃいますけど、沖縄では戦後レジームの死守をしているような感じがするんですよ。一方で、憲法改正という形で日本の積極的平和主義を訴えながら、沖縄で戦後レジームの死守をするようなことは、私は本当の意味での国の在り方からいうとなかなか納得がいきにくい、そういうものを持っております。
 それから昨日、一昨日の官房長官の沖縄県民の民意というのがありました。
 いろいろなものがあってあの選挙は戦ったんだよ、と。だからいろいろあるでしょう、という話がありましたけれど、昨年の名護市長選挙、特に沖縄県知事選挙、衆議院選挙、争点はただ一つだったんですよ。何かというと前知事が埋め立ての承認をしたことに対する審判を問うたんです。ですからテレビ討論、新聞討論、確かに教育、福祉、環境、いろいろあります。いろいろありますが、私と前知事の違いは、埋め立て承認以外には違いがないんです、政策に。
 ですからあの埋め立て承認の審判が今度の選挙の大きな争点になりまして、その意味で10万票差で当選したということは、もろもろの政策にやったようなものではないんだということをぜひご理解いただきたい。
 ですから、沖縄県民の辺野古基地の反対というのはですね、県民の圧倒的な考えが示されたものだと思っております。そういうことで、ぜひご理解いただきたいと思います。
 振興策も話をされておりましたので、私は沖縄県はいろいろ難しいのもあります。
 例えば、基地があることによって困ったことは何だったかというと、9・11のニューヨークテロでビルに飛行機がぶつかっていった時に、大変なことが起きたと思ったら、1週間後に沖縄に観光客が4割来なくなったんですよ。4割来ないということが大変なこと、あの時の沖縄県の苦しみは大変だったですね。
 尖閣も、日本固有の領土でありますし、守るというのも結構でありますけどしかしながら尖閣で何か小競り合いがあると、いま石垣島に100万人の観光客が来てますけども、小競り合いがあったら、すぐ100万観光客が10万くらいに減るという危険性も十二分に持っているんですね。
 ですから私はそういう意味からして、ぜひとも沖縄は平和の中であって初めて沖縄のソフトパワー、自然、歴史、伝統、文化、万国津梁の精神、世界の懸け橋になる、日本のフロントランナーとなる。そういった経済的にもどんどん伸びていって、平和の緩衝地帯として、他の国々と摩擦が起きないような努力の中に沖縄を置くべきだと思うのであって、米軍基地があったりすると、最近はミサイルが発達してますので、1発2発で沖縄が危なくなる。
 こういったことなども考え合わせると、米軍もアメリカももうちょっと遠いところに行きたがってるんじゃないかな、と。日本の方がかえってそれを止めて抑止力という形でやっておられるんじゃないかという疑問が大変ございます。
 アジアを見据える、あるいは中東を見据えるところまで沖縄の基地が使われるんじゃないかと思ってますけど、この辺の根本的なご説明がないと、新辺野古基地はおそらくは難しい。県民の今日までのいろんな思いは絶対に小さくはなりません。もっと大きくなって、この問題に関して私は話が進んでいくと思っています。
 そういうことで、私は今日官房長官にお話はさせていただきましたが、安倍総理にもこのような形でお話する機会があれば大変ありがたいと思いますけどね、その面談のお手配をお願いしたいと思いますし、基地負担軽減担当大臣でもございますので、ぜひ辺野古の建設の中止をされながら、しっかりと話し合いをして基地問題を解決していただきたいと思っていますので、よろしくお願いを致します。

全文は以下(沖縄タイムスのホームページ)に掲載されている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=110519

 


「沖縄の痛み」と書くのは容易いが、それをどれだけ理解しているのかと自問すれば、甚だ怪しくはある。ただ、沖縄の声に耳を傾けようという思いはいつもある。また、その声を伝えたいとも思っている。

3月30日の政府発表である。辺野古新基地建設をめぐり、防衛局の投下したブロックがサンゴを損傷した可能性が高いとして、翁長沖縄県知事が防衛局に出した海底作業の停止指示(3月23日)に対して、その効力を一時的に停止すると林芳正農相は決定した。
この決定に関し農相は記者団に「県からも意見があったが(防衛局の申立書と)両者を勘案して判断をした」と説明した(琉球新報3月31日)。
では、政府が捨てた「県からの意見」とはどういう内容だったのか。沖縄県知事は意見書を3月27日に提出していた。その際の知事コメントを一部分だけだが紹介したい。

執行停止申立書に対する意見書の提出に関する知事コメント

(前半略)
沖縄防衛局は、指示により工事が停止されることに関する損害として、普天間飛行場の返還の遅れに直結する、日米関係にも問題が生じると主張しているが、
(9)戦後70年を経た今もなお、国土面積の約0・6%しかない本県に約74%の米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがなく、その米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因であることは明確である。
日本の安全保障が大事である。それは私も等しく共有する思いでありますが、負担を沖縄県民だけが背負うのではなく、日本国民全体で考えるべきである。
その様な歴史をたどって来たからこそ、沖縄の県民は先の県知事選において、36万票という民意となり、移設による負担の継続ではなく、米軍基地負担を否定する道を選んだのである。
普天間飛行場を抱える宜野湾市民の意思も、約3千票の差をもってこれが支持されていることも忘れないでいただきたい。
それにもかかわらず、政府の一方的論理によって、辺野古移設を「唯一の解決策」であると決めつけて、普天間飛行場の負担の大きさを執行停止の理由として述べることは、悲しいことでありますが、沖縄県民の痛みを感じない、感じようとしない政府の姿勢があることを国民の皆さまに知っていただきたい。
(10)国の言い分はあまりに抽象的な主張であり反論の必要に欠けるが、基地の移設について日本の国内法に基づいた正当な許可手続きを経て実施させることが、なぜ、日米関係の悪化につながるのか私には理解できない。
また、日米関係が悪化するから、日本国内法に基づく必要な許可を得ないままに作業を続行させて良いというのであれば、それは主権を持つ一つの独立国家の行動ではないと断じざるを得ないであろう。
(11)そもそも、幾度となく、情報提供や調査協力の要請を行うとともに、コンクリート製構造物の設置行為が岩礁破砕行為に該当するのであれば、必要な手続きを採るべきであることをも伝えてきたが、沖縄防衛局は、許可の申請や協議を行うことなく、工事を続行し続けて来た結果、県自身で調査活動を行わざるを得ない状況に陥ったのである。
このような意見をもって、沖縄防衛局の申し立ては、不適法であって却下されるべきであり、また、仮に申し立て自体が適法であったとしても、明らかに執行停止の要件を欠如するものであるから、速やかに棄却されるべきであると意見した。
2015年3月27日
沖縄県知事 翁長雄志

全文は以下(琉球新報)。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241044-storytopic-3.html