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更新情報 一枝通信1月19日号「福島の農家たち」


みなさま

18日(土)は八王子で開かれた催し、『超自然の大地』上映&クロストーク「福島の農家さんと話そう」に参加してきました。
この映画は原発事故後の3年間にわたって、福島県内各地(二本松市、喜多方市、南相馬市)の有機農家たちに密着取材したものです。
まだ最終的に完成されてはいないようですが、今日は試写版として上映されました。

◉『超自然の大地』
東京電力福島第一発電所の事故によって、放射能が降り注いだ大地。
その現実と向き合い、けれども耕し続ける農家たちの姿を映し出していました。
それは被害者である自分たちが、「加害者になる」かもしれないという不安を抱えての挑戦でもありました。
2011年春、葉もの野菜からは高濃度の放射線核種が検出されましたが、長年有機的に耕してきた土壌は、放射能の作物への移行を低減させる効果があって、その後は多くの作物が「不検出」という結果でした。
放射能と向き合う覚悟を決めた福島の農家たちは、ベクレルモニター、ゲルマニウム半導体検出器をいち早く使用し、独自に土や農作物を測定してきました。
そして農作物への移行を防ぐ為の実験とその検証を繰り返して、その手法を確立し土地を再生させて、福島の大地を次世代に繋げようとしています。

◉土の力
私は南相馬市現地のボランティア六角支援隊を手伝いながら、仮設住宅で暮らす被災者たちの作る畑や試験田と、そこでの経過を見てきました。
採れた作物や米はもちろん、線量測定をしてきました。
殆どが不検出か出ても低い値だったのです。
昨年の試験田では田植えの時から収穫後まで、国分寺や八王子の市民測定室の方達に関わっていただきました。
その時に彼らから聞いたのが、福島県有機農業ネットワークと茨城大や新潟大などの研究者たちとが恊働で、福島の農業の実態調査のことでした。

土には放射能があるのに、そこで栽培された作物からは放射能が検出されなかったというのです。
粘土質と腐食の複合体である肥沃な土壌は、放射性セシウムを土中に吸着・固定化して、そのために放射性物質は作物に移行しないというのです。
福島原発事故後私たちは、「チェルノブイリでは…」ということを、これからの暮しを考えていく上での視点にしてきました。
けれどもこの調査の結果は、チェルノブイリの砂質の土壌と、日本の土壌の違い、またその中でも特に、多様な土壌微生物を多く含む有機農法を営んできた農地の土壌では、作物への移行度が大きく異なることを示していたのです。

六角支援隊の畑も田圃も、予めの除染はしませんでした。
またいずれの用地も近くの農家から借りた田畑で、原発事故後の作付けがされないままで置かれていたところです。
畑の用地は、以前には有機農法でやっていた農家から借りたものです。
試験田の田圃は、田植えの前にゼオライトとカリ肥料を蒔きました。
こうしたことが、結果的に良かったのだろうと思えます。

◉表土を剥ぐ除染は有効か?
国は一方的に表土を剥離しての除染を進めようとしますが、それでは剥いだ土は汚染物として積み置かれていくだけです。
昨年行った田村市の都路(みやこじ)では、除染で出た土や枝葉などの汚染物質を入れたフレコンバッグが、一時的とはいえ歩道に並んで積み置かれていました。
また南相馬に行く時にいつも通る飯舘村は、田畑の土を剥ぎ、山の木々を刈って表土を剥ぎ、それらを入れたフレコンバッグは仮々置き場もいっぱいで、そこに運ぶまでの間は畑地に積んであります。
フレコンバッグは放射性物質を含むものを入れてあるのですから、それらが積み置かれていたら、その場所は高い測定値を示します。
もしもフレコンバッグが破れたら(私は実際に川俣町でそうしたバッグを目にしたことがあります)、地面に染み入っていきますし、雨で流れてもいくでしょう。
飯舘村などを見ていると、田畑の表土を剥いで除染しても、雨や風でまた山から放射能は田畑に注ぎます。

町中の公園や道路、住宅などは別として、表土を剥ぐ除染は、山間地や農地では必ずしも有効でないばかりか、逆に放射能を拡散させるだけではないかと思います。
それは「除染」の名目で、ゼネコンを潤しはするのでしょうが。

◉お薦めしたい本
☆『放射能に克つ農の営み ふくしまから希望の復興へ』
菅野正寿・長谷川浩 編著 コモンズ刊 1,900円+税

上に記した土の力は、「ふくしまの奇跡」と呼ばれているそうです。
福島さんの農産物を買う、買わない。食べる、たべない。それは各人の判断です。
けれどもそうしたこととは別に、原発事故後の農業者の思いを知る上でも是非皆さんに呼んでいただきたい本です。
また、映画『超自然の大地』も機会がありましたら、是非ごらん頂きたいと思います。  

いちえ

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