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2017年9月13日号「9月7〜9日福島行③」


●前便追記
谷さんのお宅でお聞きした話で、伝え残していたことがあります。
*生き物の変化
Mさんが所属していた森林組合は現存していて、汚染された樹木の伐採などを請け負っているそうですが、Mさん自身は、もう仕事には出ていないようです
Mさんが言いました。
「見ろ、この山。なんのせいだか放射能なんだか、うんと葉っぱ赤くなってんだぞ。
ナラの木だけ真っ黄色だわ、紅葉したみたく。
一番先爆発した時は、この先に七曲ってあんだけどな(注:道は八木沢峠へ向かいカーブが続く)、そこの手前の木は葉っぱ出ねぇんだ。
全滅、木ぃ枯れたと思ってたの、俺見てて。ほうしたら出てきたけど。
竹が一番(影響が)判るな、出るな。
ここ行くと、八木沢峠ずっと行くと、竹が緑の色が全然違う。
長野県の方行くと竹が青々してるけど、ここらはなんか、くすんでるな。
だから枯れるのも早い。
なんだ、(放射能の)影響はないなんていうけどな。
蛇は見なくなった。
爆発した時冬眠してたべし、だから蛇は居なくなったな。
ガマガエルな、山さいたんだよ、大きいのな。
いっぺぇ居たんだ。
けどガマガエルも1匹も見なくなった。
 ここ大原街道って言うんだけど、サルは轢かれる、カラスも轢かれるんだ。
カラスなんかパァッと飛ぶんだから、轢かれることなんかねぇべ。
そいつが轢かれんだ。
イノシシ増えたな、この辺で田ぁ作んないから、イノシシ6号線越えて浜の方まで出てるっていうぞ。
昔はイノシシなんて夜しか見なかったのが、昼間ものこのこ出てるよ」
事故後の自然界の変化は、フリーのジャーナリストなどから報告されています。
現存している生物の変化は目に見えますが、事故前には居たのに事故後は姿を消した生物についての、記録はあるでしょうか?
そうした記録は、事故前からそこで暮らしてきた地元の人でないと残せない記録なのかと思います。
記録を残していってほしいと思いました

●長谷川健一さん
5月にも長谷川さんをお訪ねしていましたが、今回は種まき後の蕎麦畑を見せていただきたかったのです。
飯舘村の自宅はリフォーム中で、大工さんが何人も入って作業中でしたから、離れで話しをお聞きしました。
大原での谷さん夫妻の心配事が北朝鮮のミサイルだったことを話すと、長谷川さんはこんな風に言いました。
(野池さんと長谷川さんの会話で話は進みましたが、長谷川さんの語りとして記します)
「電磁パルスも電子機器への影響とか停電とかは言っても、原発に対してどうなのか、原発に与える影響や被害については載ってないんだな。
意図的に載せないんでないか?
加計学園なんかも傍に置いてしまって、国が嫌がることや都合が悪いことは伏せられるんだな」
*この後も、野池さんと長谷川さんとの会話で話は進みましたが、長谷川さんの語りとして記します。
「特養が一番心配だな。
140床あって、入っているのが33床。
100床以上空いてて、近隣の市町村にお願いしてる。
逆だろう?って。
自分とこいっぱいにして、それでも足りないから「お願いします」ってなら判るけどな。
待機が40人。
オレのお袋も申し込んでんだが介護5だから優先的に入れっかと思うけど、それでも10番目以降だって。
《道の駅》が復興の旗印になって現実を報道しないで、ああいうとこだけ報道して特養なんてとこに目いかないで、ハコモノ、ハード面の部分が目につくからな。
そういうものだけを先行してんだから、おかしいゾって。
戻った村民の数だって、そういう数字だって何とかして多い数字を出そうとしてるわけだから。
引越し費用として戻った世帯に20万円出るから、それを目当てに一応戻った人もかなりいる。
特養の33人もその人数に入ってる。
いかにしても、多くの人が戻っているかのようにして見せている。
日中は戻ってる人かなり居るよ。
日中は仮設の駐車場なんかガラガラだ。
アンケートとったら来年50人くらい子どもが戻るって、村長ホクホクしてるけど、その発表も本当にその数字なのか判んねぇな。
行政がやってるアンケートだから、質問の仕方や解答の書き方など、アンケートの取り方もあるからな。
50人の数も、幼稚園から中学までの数だからな。
来年、開校になったらどうなるかな。

県が発表して仮設(貸与期間)が1年延長したけど、オレはそんなに延ばす必要ねぇって思うんだよ。
みんなこれからの道筋は立ててんのよ。
いつまでも仮設に居られるわけねぇから。
長泥地区の除染もするようだな。
しかし、あんなとこ除染したってなぁ、山だもんなぁ。
町みたいなとこならまだしも、あんな山ん中なぁ。
集落の人そのものが諦めて、ほとんどの人が他所に(住居を)求めてるわけだから。
それと相反して再稼働がどんどん進んでいく。
(被災地は)除染も進んで、復興も進んでるって示したい方策なんだな。
原発心配するより、北朝鮮を心配しろということだ。
だけど原発にミサイル落ちたらどうすんだって?
そういう話の流れには、絶対触れないからな。
俺は農家だから村の農地をどうするかが心にかかる。
本当にこれからどうなるかって思うよ。
今は草ボウボウになってるけど、今年の長雨で草刈りできなかったからしょうがねぇんだけども、これから晴れれば草刈りしてくけどな。
前にも言ったけども、それは国や県の10アール3万5千円の復興対策事業でやる。
だけど、その事業も30年度までってなってる。
その後、どうすんだって。
10アール3万5千円貰えっからって、みんなやる。
それがなくなったら、誰もタダじゃやんないよ。
オレはそれからが問題だって思う。
まして今、それからの計画立ててやる人なんか、あんまりないからな。
前田地区はオレ含めて4人が農地再生に取り組んでるけど、30年度でこの事業が
なくなれば、みんな厳しいな。
県の事業として、いかに継続を要望していくかだな。
それぞれが自分のところを自分でやるというまではな。
オレだって自分のとこは自分でできるから。
いかに事業を継続するかだが、逆に言うと継続することによって営農再開目的の気持ちが薄れるな。
どっちかって言ったら、3万5千円の事業の方が便利だから。
営農再開を目的にしていろいろ作っても、果たしてそれが売れるかどうか判んない。
そういう不安より、間違いない方へみんないく。
オレだって、あくまでも荒れないようにしましょうの事業だから。営業再開に向けてやるとなると、その事業に該当しなくなるわけだ。
農地をどうすんだってことで、本当にこれから大変だよ。
ホントにオレは、もう判んない。
できる限りオレは蕎麦作ってやっていこうと思ってるけど、牛舎の跡に蕎麦関連の施設作れってオレは言ってんだけど、国はなかなかウンって言わねぇんだよ。
最近になってオレは「ダメならダメでいいから、ハッキリしろ!」って言ってる。
ダメな時は、オレは自分とこは自分で管理できんだから
ただそれじゃぁ、まずいだろう?こういう風に筋道作って、蕎麦作って村の農地の復活をやろうとしたんだから。
国がそんな態度なら、オレはもういいゾって、頭きたから言ったんだ。
国の方針に従って目立つことをやるにはお金を出すけど、国に反抗して目立たないようなことをやってんのには金を出さない。
だから、流れ的には国の方針に寄り添っていくことになるんだな。
農業も個人として完全に自立できるのはなかなか難しいから、どこかで助成のお金が入ってやっていくのは仕方がない。
それに反抗して、助成金頼りじゃダメだって言ってそのままでおいたら、「ああ、そうですか」って国は言うだけだから。
お金で脅してコントロールしていく。
どうしようもねぇんだ、荒れないようにキチンとやっていこうとすると国とぶつかる」
野池「酷すぎる話だな。一番の被害を受けた住民が何を望んでどうしていくかについてサポートしていくのが行政の仕事でしょう。
国が勧めて従わせていくわけじゃないでしょう。
結果的に国の仕組みが、そういう風にできちゃってる。
それで全部補助金でコントロールする。
コントロールされて補助金のつく仕事って、必要のない仕事までみんなやりだして、国の思うままにされちゃうんじゃ、順序が逆だ」
「どうしようもねぇんだな、これは。
復興、復興ってマスメディアで騒いでるけど、とんでもねぇ話だよ。
ハコモノ作りが復興なのか?
一番ソフトな部分が置き去りになってんだから。
だから今、とんでもないことになってるよ。
業者が入ってハコモノ作りバンバンやってるから。
運動公園含めて学校改築だって、あんなの既存のやつで十分なのに63億円かけてやってんだもの。話になんねぇ。
ああいうことを平気でやんだから。
まぁ、それを認める議会が悪い。
村会議員選挙、14日から始まっけど、その議会守るために村長必死だ。
議員の賛同なければ、なんにもできないから。
その議員がみんな辞めちまって、現役で残るの3人だけ、内2人は議員1年生でもう1人は補選で入った人。
その3人残してみんな辞めた。
村長走り回って体が悪い議長をなんとか口説いて、それで4人。
反対派がズラっと立候補してきたから、青くなってる。
若いのが出るって、オレのとこに挨拶にきたから「八方美人じゃダメだぞ」って言ってやったんだ。
八方美人のとこある奴だからな。
自分の意思を持って、それを貫いていく気持ちがないとダメだと思う。
そうすると敵もドンドン多くなるし、オレみたいに取り残されていくこともあっけどな」
長谷川さんのその言葉が気にかかって、「取り残され感ってありますか?」と、私はお聞きしたのです。
「あるな。
オレも百姓だから、そういう関係の会議なんかから外されるわけだ。
そうすっと、オレの考えなんか潰されていく。
村の役職って名前だけの名誉職じゃなくて、実質的なものなんだが、そうしたとこから外されていく。
本当にオレはもう、大声出したくないんだ。
議会選挙だって、オレは黙っていようかと思うんだ。
75歳の人が口説かれて出るなんてなぁ、まったくなぁ。
議員もずるいんだ。
選挙にならずに無投票なら議員やっててもいいって言うんだから。
選挙することになったら、やらないって言うんだから。
ただ名誉職みたいな考え方なんだ。
だから若い人が、村を背負って立つものを言う人がでないとダメだ。
事故後に村長がやってきた方策変えていくには、一期だけじゃダメで長い年月かけてやっていかなきゃダメだ。
後始末だ。
あんなハコモノ作った後始末だ。
医療関係、福祉関係を充実していかなきゃ」
野池さんが、「長谷川さんが言い続けなきゃダメですね」と言うと、
「でも、オレも疲れたよ。
オレは今、非国民になってるんだから。
オレは農家だから、村の農地をどうすんだってことを考える。
だいたい計画が上がってんのが、松塚地区とオレのとこの前田地区、あと八和木前田地区の3行政区だな。
田んぼだと飼料米やろうというところはあるが、あとの地区は何やったらいいんだべって。
ソーラーやったとこはタイミングが良かったからな。
今はFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の値段下がったから、あんまりない。
20年後がどうなるか、だ。
契約20年だから、契約時に全部撤去してくださいよとしておかなきゃダメだから。
その前に事業者が計画倒産なんかしたら、それで終わりだ。
 ビニールハウスも立ってるし、水田放牧もやろうという話も出てるが、畦畔は除染しないんだ。
そこは草生えてこねぇのか? そこの草、牛は食わねぇのか?
他所では会社とかが入ってきてるが、飯舘は1社も入ってない。
(若い者が帰ってこないのを)よく見てるんだよ。
飯舘は働く人が確保できる、となれば企業も入ってくるけどな。
(今は)入ってくるのは産廃業社だけ、サンポールって産廃業社が入るけど、給料いくらだと思う?
月給40〜60万ってチラシが入ってた。

午後は予定が入っている長谷川さんに、お礼を言っておいとましました。
子どもたちのこれからをどうするのか、また高齢者がどうやって生きていくか、長谷川さんの予想では帰村するのは1000人くらいでほとんど高齢者ばかりだろうということですが、税収をどうやってあげていくのか、立派なハコモノを作ったけれど維持していけるのか…。
村を思えばこそ大きな大きな不安に苛まされて、長谷川さんは声が届かないことに“取り残され感”を抱き、「オレ、もう疲れてしまったよ」の弱音を、思わず漏らしたのでしょうか。
マスメディアが伝えない現実を知るために、これからも継続して長谷川さんにお話を伺いに通おうと思いました。
ご自宅の隣の蕎麦畑は、被災前はイノシシ牧場にしていた場所です。
そこは水はけがあまり良くない土地なので、今年の長雨で蕎麦の育ちは悪く、ヒョロヒョロでした。
道路の向かいの畑の蕎麦は赤い茎もしっかり立って、一面に白い花が広がっていました。
そこにはイノシシ除けの電柵が張り巡らせてありました。
蕎麦畑の白い花に蜂が群れ、子どもたちの笑い声がそこかしこから響き、お年寄りがそんな子どもたちを見守るような、遠い遠い日がいつかきっと来ることを祈ります。

この後、運動公園建設地や幼・小・中一貫校への改築現場や、道の駅を見てから南相馬へ向かいました。
道の駅の様子もぜひお伝えしたので、どうぞ続きもお読みいただけたら嬉しいです。

いちえ

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