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2018年8月5日号「安保法制違憲国賠訴訟第8回口頭弁論②」


裁判傍聴記の続きです。

◎報告会
●挨拶:寺井一弘弁護士
先週土曜日に講演で呼ばれて、名古屋へ行ってきました。
その日の名古屋はなんと38,3℃で、駅からタクシーに乗ろうとすると50人くらいが並んでいて、ようやくタクシーに乗った時には汗びっしょりでした。
講演会場は冷房が余り効いていず話している間も辛くて、その日以来体調が余り良くないのですが、まぁそれは年のせいもありますが、今日までは頑張らないといけない、今日までは何としても頑張って大きな声で「忌避する」必要があると思って頑張ってきました。(大きな拍手がわく!)
 法廷で私が話した後に皆さん方から大きな拍手の励ましを頂き、皆さん方の思いの丈を述べて頂きました。
凄かったですね。
「それでもお前は人間か」とか「良心を持っているのか」とか、「クズだ」「腐ってる」とか、裁判官がどう対応するか少し心配していますが、私は大きな励ましを受けました。
 安保法制違憲訴訟は最初から厳しい闘いになることは予想していましたが、なかなか一方的に憲法違反である判決をとるまではいかないで、これからが新しい闘いになると思っています。
今日の拍手と皆さん方の言葉を聞きながら、「よし、これからが闘いの始まりだ。仕切り直しだ」と励ましを受けました。
 名古屋はこの暑さの中、8月2日に裁判所に提訴します。
名古屋はイラク訴訟で平和的生存権を軸にしながら、イラクでアメリカを支援する軍事活動は憲法違反だとはっきり述べている高裁判決を獲りました。
その名古屋が、安保法制違憲の提訴が遅れたのはなぜか?
「イラク訴訟の闘いは厳しかった。安保法制違憲はあの繰り返しになるのか」と、中心の活動家が躊躇していたのですが、私と伊藤真弁護士が乗り込んで「名古屋で闘わず二どうするのか」と迫って、その檄が効いたのか提訴を決めました。
しかもイラク訴訟の高裁判決を書いた青山邦夫君が僕と同期ですが、彼が共同代表の一人として入るということですし、イラク訴訟の弁護団長だった内河恵一君、彼もまた同期ですが、前の参議院議員で憲法学者の大脇雅子さんも共同代表ということで紹介がありました。
原告団も着々と増えて、ノーベル物理学賞受賞の益川敏英先生も原告に入ることを聞き、名古屋でも大きな励ましを受けました。
 名古屋で私は、「忌避の申し立てをするのだろう?」と聞かれましたが、事前に裁判所やマスコミに漏れ出してはいけないと思い「検討している」とだけ答えました。
 イラク訴訟で実質的な事務局をやっていた私の友人が、言いました。
イラク訴訟では名古屋は一審で、判事全員の忌避をしたそうです。
今日の法廷では忌避の申し立てを黙って聞いてくれましたが、名古屋では裁判官が黙って出て行ったので忌避の申し立てを聞いていなかったと言うので、それを問題にして、裁判官に対して損害賠償申し立てを起こしたと言っていました。
そして、忌避の申し立てをしてもなんのマイナスも生じないとも言っていました。
忌避の申し立てをした私どもを、裁判官が快く思っていないのは間違いないけれど、報復として安保法制を合憲にしようというのは心理的に難しい。
裁判所は相当圧迫するだろうけれども、これから判決が出るまでの半年か1年以上の長い時間がかかるだろうがそれまでの間、大きな運動として裁判官を追い詰めていくなら、まだやれるかもしれない。
また忌避を申し立てられるかもしれないと裁判官は怯えるだろうと、名古屋の友人に言われて大きな励ましを受けました。
 私はこの訴訟の意義は二つあると思っています。
一つは絶対に我が国を、戦争する国にさせないということ。
もう一つは安倍内閣の意向ばかりを忖度している裁判所が、三権分立のもとで司法権独立、裁判官独立を果たしていない、これを民主主義国家として言えるなら、そのような裁判官の姿勢を我々は認めるわけにはいかない、この二点です。
今日みなさんが傍聴されて、あの通りです。
 前澤達朗裁判長は最高裁から降りてきた裁判官で、その前は最高裁人事局任用課長をしていたエリート中のエリートで、4月の裁判官交代の時にこれは危ないと思っていました。
4月6日に電話をして弁論更新の機会に、これまでのことを含めお話ししたいと言ったら、これを拒否しました。
前の裁判長は会ってくれたのですが、前澤裁判長は「会う必要がない」と拒否したので、これはまずいと思いもう一度、左陪審の判事に、これからのためにもこれまでの流れと弁護団の意向を聞く方が良いのではないかと伝え、そのことを裁判長にも伝えて欲しいと言いました。
その夜電話があって、裁判官は着任したばかりでなんの記録も読んでいないから、その段階であっても意味がないという意見でした。
 それから10日後、土日を挟むと一週間しかないですが、記録は膨大です。
16日に国側を入れた3者協議がありました。
その場で「証人採用については消極的だ」と言いました。
弁論更新はその後ですが、その前の非公式の会議で証人採用は考えていないと平然とした顔で言ったのです。
しかもその態度が悪く官僚的な顔はこれかと思って聞いていましたが、今日の結果は弁護団全員が予測していました。
当初考えていた8人の証人全員を拒否することを予測していましたから、その中でも2名でも3名でも、1名でもいいから採用してもらう必要があると、古川弁護士が説明した通りです。
裁判所は、証人の意見書を読めばわかる、原告の訴えは意見書を読んでももっと切実なことがあろうかと聞いてきたが、証人については必要ないと理屈を言うので、半田さんと西谷さん、前田さんは海外のいろいろな戦地や紛争地などを回って自らが体験してきた事実を語れる立場から客観的な事実を法廷で明らかにすることが大事だと、3人に絞ったのですが、聞く耳持たないと一蹴しました。
 しかし、私はここで気持ちを取り直して、これからの闘いを進めていきます。
みなさんもどうか、この歴史に残る闘いを勝ち取ろうではありませんか。
9月の29、30日の2日間、全国の弁護団の交流会を東京で行います。
全国の仲間と忌憚のない意見交流をしたいと思っています。
●埼玉弁護士会:北村弁護士
 一人でも証人採用を願ったが、ダメだった。
がっかりするとともに裁判官の権力に対して、怖さを感じた。
今日、裁判官が口頭弁論が終わってからも残っていたのは、裁判官には法廷警察権という権限があり、庁舎全体は裁判所長が権限を持つが法廷に関しては、開廷の前後を含め裁判官が秩序を守る立場があり権限を持つ。
普通は裁判が終わるとさっさと引っ込むのに、今日は、彼は国家の権力を笠に着て行動を取っていると感じた。
原告や傍聴のみなさんは、冷静に裁判官を睨んでいたが、私は権力の怖さを感じた。
●代理人弁護士の一人の北村弁護士
 これまで裁判官の態度を見てきましたが、今日も3人を見ていて裁判長が一番不真面目だと思って見ていた。
意見陳述を真剣に聞いていない。
前回の原告の陳述の時も、原告の一生懸命の訴えを真剣に聞いていないなと疑いの目で見ていた。
 だから今日の決定に対して忌避の申し立ては当然のことだと思う。
だが忌避の申し立てをしても、なかなか勝てないのが普通だ。
しかし今日は、寺井さんの話の後で原告席、傍聴席からうねりのように大きな声が上がった。
これは裁判手続き上どんな意味があるかということ以上に、裁判官にとっては大きなプレッシャーになる。
これから原告や支援者が真剣に考えていることのアピールになると大きく感じさせた。
 集団的自衛権は憲法9条に照らして違憲というのが、一番大きなところだが、ただ訴訟戦術上これを前面に出すと門前払いになるという懸念もあったので、国家賠償という形で訴え却下にならないようにやってきた。
 この訴訟の一番の根本問題は、集団的自衛権は違憲であるということにこそ力を入れていきたい。
これからも準備書面で、この点を強調していきたい。
●角田由紀子弁護士
 残念ながら、思った通りのことだった。
私は「女の会」の代理人もやっているが、女の会はこれから原告本人尋問採用せよ、証人採用せよということをやり始めるので、裁判所がどう応じるか参考にして見ていた。
 今日の原告席、傍聴席のあのうねりは凄いですね。
裁判官は怖かったのではないかと思った。
今日、裁判が始まった時の前澤裁判長はいつもとちょっと違うような顔をしていて、「あ、この人とっても怖がっているんだな」と思った。
彼は途中で「合議します」なんてパフォーマンスしていたけれど、証人を採用するかしないかという大事なことを、数分で合議などできるわけはない。
裁判官がどんな態度をとってどんな考え方で判決するかは、私たちがどんな風に訴えどんな風に主張するかと大きなつながりがあると感じているので、今日の結果はわかってはいたが、これからも負けないように、今日を出発点として次のゴールに向かっていきたい。
●福田衛弁護士
 昨日「日の丸・君が代」裁判(「再雇用拒否撤回第二次訴訟」があった。
これは起立しなかったからと再雇用を拒否された人たちが起こした裁判で高裁では勝訴だったのを最高裁でひっくり返した。
最高裁大法廷の裁判長は山口篤で、山口は憲法学者だったが最高裁に任命される直前に弁護士になった。
日本弁護士連合会は、山口以外を推薦していたが、日弁連の推薦を全て外して山口を最高裁長官に任命した。
その背景には、安倍政権の意思が働いていた。
その山口が最高裁長官になって、君が代の判決を出した。
 この流れの中で最高裁の人事の中枢にいた人間が、安保法制違憲国賠訴訟の裁判に乗り込んできて、証人採用却下という決定を出した。
私たちは司法が最後の砦だと思っていたが、この裁判を通してこの流れを突破していかないと、日本全体が本当に間違った方向に行ってしまう。
今日の忌避申し立てもそういう意味で、私たちは闘いの狼煙を上げたと考えたい。
 法的保護利益が、私たちの訴えにはあると主張した。
法的保護利益とは、この訴訟で国は最初から憲法論争を回避した。
その根拠として、私たちが国家賠償を請求している慰謝料というのは法的救済をする対象にはならない主張だと居丈高に言い、また私たちが戦争やテロの危険を訴える不安感は漠然としたもので法的保護の対象にならないと言い続けてきた。
 今日、こういう局面を迎えるにあたってその問題に私たちはきちんと反論しておく必要があるということで書面を作り提出した。
前澤裁判長もおそらく、国側同様のそこのところで私たちの主張を棄却するだろうと思う。
イラク訴訟名古屋高裁も、原告は一人1万円の国家賠償請求をしたが、青山裁判長は一人一人の真剣なその訴えは切実だということは判るが、と言いながら法的保護の対象にならないと、その請求を棄却している。
ただ傍論として憲法違反だとしたのは、アメリカの兵隊をクエートからバグダッドに空輸したことが、自衛隊業務として憲法違反の行動だったという判断をした。
憲法違反の判断をしながら原告の請求を棄却したから、国側はそれに対して上告できない結果になった。
あのイラク訴訟ですら、原告の国家賠償を裁判所は法的に救い上げることをしなかった。
私たちはそこをちゃんと、原告の一人一人が苦痛、危険を感じている、それは客観的な状況、つまり安保法制という憲法違反の法律が成立することによって、客観的に戦争の危険が高まった中で原告が戦争の追体験をし、戦争の再来を恐れる、その裏づけとして客観的状況を3人の証人に陳述してもらおうとしたのだが、聞く耳持たずという結果だった。
 行政訴訟の差止請求訴訟では原告本人尋問を予定している。
原告本人の話を聞いた上で証人尋問も判断したいと言っている。
少なくとも今日、私たちがすんなり証人申請却下を受け入れたら差止もそうなるだろうが、そういう意味も含めて今日の忌避は、私たちは証人申請却下を許さないぞという姿勢を示した。
証人申請却下に対して、私たちは忌避申し立てをして闘う姿勢を示した。
これは行政訴訟でも証人採用をさせるという目標が、あるので一緒に闘う必要があるので、まだまだよろしくお願いします。
●古川健三弁護士
 忌避するかどうかについては、弁護団で激論を交わした。
理屈から言えば忌避が通らないという見通しは残念ながらある程度あって、だから、無駄なことをやるのかという意見もあった。
ただし今日、寺井弁護士が「忌避します」と言い、それに呼応するように大きな拍手が湧き、忌避を選んだのはやはり正解だったと思う。
議会に例えれば、忌避は不信任で、不信任が拒否されて強行採決になるという話だが、そうだとしても我々は筋を通したということを残しておく必要がある。
 最近の裁判所は非常におかしな判決が、たくさん出ている。
例えば大飯原発差止訴訟は、地裁の判決を高裁がひっくり返して棄却した。
原告団はこれを上告しなかった。
なぜか。
今の最高裁では、上告したらどうなるか。
昨日の「日の丸・君が代」のような結果になったら、全国で戦っている原発裁判はどうなるのかを案じた。
それを考えると、上告を断念せざるを得なかった。
 実際に大飯の高等裁判所の裁判官も、本件のように途中で交替している。
その前の裁判では電力側に、かなり厳しい追求をしていたが、今の内藤裁判官になったら、もうガラッと変わってしまったことが原告団の声明に書いてあるから、是非読んで欲しい。
我々の忌避申し立てと相通ずるものがある。
 全国でも人事を通した意図的な裁判への介入が行われている。
この訴訟でも寺井さんが法廷で述べたように、1月に7人と5月に3人の原告尋問があった。
1月に原告尋問を聞いた裁判官は、誰一人残ってはいない。
裁判所のホームページを見れば、左陪審だった裁判官は東京地裁に残っている。
左陪審だった裁判官は残っていて、4月の本件の進行協議の時にも居た。
ずっとこの裁判に関わっていた人(左陪審だった裁判官)を目の前にして、前澤裁判長は、今度から左も替わりますからと言った。
左も替わると言うからどこかへ転勤かと思ったら、そうではなく東京地裁に居るのだ。
これはおかしい、明らかに意図的だ。
 誰がこの裁判を担当するかは、結局は裁判長の采配による。
もちろん理屈的には裁判官会議の決定で、裁判官全員で決めるということだが、
実際には裁判長の「お前はやめろ」ということだと思う。
 今回期日を迎えるにあたり、2日前に杉浦弁護士と私で改めて裁判官に証人採用をお願いしたいということで、裁判長に面会を申し出た。
4月の面会は断られていたから、正直言って今回も断られるかと思っていた。
だが、断らずに「来てください」ということだった。
あれ?と思ったが、面会して何を言うかと思えば「証人不採用になったら次はどうしますか」というわけで、4月に着任した最初から、腹の中は予断と偏見で決まっていた。
これに対して我々は、きちんと言わざるを得ない。
 裁判長は傍聴をすごく怖がっている。
今日はなんだか偉そうに最後まで残っていたので、私も驚いた。
普通は「終わりました」と言ったら、裁判官は帰る。
終わったなら帰ればいいのに、裁判官がいるからこっちだって帰れないということでしょう?
普通は裁判官が帰ってから傍聴人は帰るのに、裁判官が居るのに傍聴人が帰る法廷はない。
だからあれは、誰かが暴れたら摘まみ出してやるという態度がありありとしていて、もしそうなったら、次からは法廷に入る時には身体検査をして持ち物検査もして、携帯をを預けさせということまで考えていると、2日前にチラッと言った。
よほど怖がっている。
それに対して我々はきちんと筋を通して、言うべきことは言う態度を最後まで貫かないといけない。
これからもよろしくお願いしたい。

*報告はまだ続きます。
どうぞ、最後までお読みください。              

いちえ

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