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絵本市通信 36

先日、歌人の道浦母都子さんにご来店いただいた。
急なこととはいえ、久しぶりの再会が嬉しかった。
全共闘運動とその時代に全存在をかけて詠った第一歌集『無援の抒情』(1980年)には、心の襞が震えるほどの衝撃を受けた。以来、ずっと道浦さんの短歌を中心に、その著作を貪るように読み続けてきた。
初めてお会いしてから随分と経った。あの大歌人を目の当たりにすると、いささか緊張するのだが、直ぐにその優しさと心地いいまでの聡明さに包み込まれてしまうのである。
それでも時折、キラッと輝くような「言葉」に歌人のオーラを見る。

絵本市の開催を知り「私も絵本を出しているんですよ。帰ったら早速、送りますね」と仰った通り、昨日、絵本『ふるさと60年 戦後日本と私たちの歩み』(文・道浦母都子 絵・金斗鉉/福音館書店)が送られてきた。290ミリ×335ミリの大判である。
一地方都市とおぼしき町の戦後復興(1946年頃)に始まり、戦後60年に至るまでの、庶民の暮らしの変貌を孫たちに語り継ぐ祖父母の戦後体験を縦軸に、ポイントになる時代を見開きの定点鳥瞰図で表した絵本である。本書は絵本という形をとった戦後史絵巻であり、そこに作者の平和への希求を読み解くことができる。

炎あげ地に舞い落ちる赤旗にわが青春の落日を見る

「今日生きねば明日生きられぬ」という言葉想いて激しきジグザグにいる

と『無援の叙情』に謳った歌人の、落日からの再生の書にも思えるのである。