HOME » 支店長の太鼓本

支店長の太鼓本


『ハンス・ベルメール写真集』

異形なるものへの偏愛か、澁澤龍彦への憧憬か……

序 文 澁澤龍彦
編・著 アラン・サヤグ
翻 訳 佐藤悦子

シュールレアリストのハンス・ベルメール(1902〜1975)という人形作家にして写真家による写真集ではあるが、著者ベルメールその人よりも、表紙カバーに「序文・澁澤龍彦」と「翻訳・佐藤悦子」の二人の名前を発見したことの驚きに、本書を選択した主たる理由がある。
澁澤龍彦と佐藤悦子が並んだ書物であるならば、それがベルメールにあらずとも、例えばジャン・ポール・アロンであろうと、ジョルジュ・バタイユであってもいっこうに構わないのであるが、佐藤悦子の説明は個人的な理由により、ここでは割愛させていただく。
さて、澁澤龍彦である。氏の生前の折「新聞に原稿を書いた際の名前が『渋沢竜彦』と印刷されており、これはいったい誰のことだ?」といったエッセイを読んだことがある。
さもあらん。「澁澤龍彦」は、断じて「渋沢竜彦」なのではない。また、澁澤龍彦が、いわゆるマスコミには不向きであることが、その一例に知ることができる。澁澤を白昼大ぴらに新聞などで読むことなど禁忌にほかならず、事ほど左様に公序良俗に反した作家は存在しないのである。澁澤龍彦は、深夜から未明にかけて、独りほの暗い部屋で脳の裏側で耽読すべし。
本書はベルナールが制作した球体関節人形(文字通り関節が球体化している異形なる人形)を制作者自身の撮影による、つまり「澁澤ワールド」を極めた、写真集であるのだが、「しかし、本書の見どころはそれだけではない。それよりも私たちにとってショッキングなのは、本書の後半に収録されたポルノグラフィックな匂いの濃厚な一群の写真、とくにベルナールの晩年に彼と同棲していた女流芸術家ウニカ・チュルンの緊縛ヌード写真であろう。これは人形ではなく、生身の女体をオブジェとした写真だ」(「序文」より)とある。
(城山支店長・村石保)

発行日 1984年8月10日 初版発行
頁 数 160頁
発 行 (株)リブロポート
印 刷 凸版印刷
判 型 A4判
製 本 上製本(カバー付)
価 格 8000円

*本書ご希望の方は、<購入のご案内>にてお申し込み下さい